キムチが韓国を代表する食べ物である理由
「なぜ韓国人はパスタにピクルスがついてこないと興奮するのか?」が気になって、夜も眠れなかったYさんが、今度は「なぜ韓国人はカレーにキムチを食べるのか?なぜ韓国人はさつまいもにキムチを食べるのか?」という質問をもってやってきた。
言われてみると、私も家でカレーやさつまいもを食べる時、らっきょうやお茶の代わりにキムチを食べていた。生まれてこのかた30年、さつまいもにキムチを食べることを一度もおかしなことだと考えたことがなかった私は、Yさんの質問のおかげでどの料理にも欠かせないキムチが韓国を代表する食べ物である理由についてじっくり考えることができた。
アメリカの健康専門誌「ヘルス」は、日本の大豆食品、インドのレンズ豆、スペインのオリーブ油、ギリシャのヨーグルトと共に韓国のキムチを世界5大健康食品のひとつに選定した。
ビタミンA,B,C等が豊富で、健康によいとされるバクテリア乳酸菌が多く、消化を助けてくれる抗がん効果にすぐれた食品として知られているキムチは今や世界でも広く好まれる食べ物となった。
キムチはどんな食べ物と食べてもよく合う
キムチはどんな食べ物と食べてもよく合う。韓国の食べ物だけではなく、中華、欧米各国料理、そして日本の食べ物ともよく合う。
キムチが他の国の食べ物ともよく合うのは、発酵食品だからだ。生ものと火を通したものの中間に位置する発酵食品なので、生のものとも、火を通したものともよく合うのだ。
また、キムチは個体と液体の両面性を兼ね備えている。キムチには他の国の野菜を使った食べ物とは違って汁があり、その汁があって初めて本来の味わいがでる。
韓国キムチのすぐれた味は、多種多様な合わせ調味料の調和の中から生まれる。
キムチに使われる主材料である白菜や大根を始めとし、ネギ、にんにく、しょうが、とうがらし、塩辛等、各種の調味料が渾然一体となり、食物性食品と動物性食品の絶妙な配合が味の深みを増してくれるからだ。互いに違う機能をもった材料が発酵する過程の中で、乳酸菌が活性化物質を出し、複合的に作用するよう助けるのだ。
キムチの色は他の野菜でつくる食べ物よりも美しい。キムチの主材料となる白菜には、すでに白い茎と緑の葉っぱ、そして黄色の3つの色がまんべんなく入っている。
この白菜の色がとうがらしの赤とよく合って味覚と食欲をかきたてる。ここにカラシ菜や岩茸のような黒っぽい色が加わると、5つの色彩が美しい調和をなす。 このようなキムチが発酵すると、味もひとつではなく、辛み、酸っぱさ、甘さ、そしてしょっぱさ、苦みの5つの味わいがでる。 キムチに見る5つの色は、宇宙を象徴する五方色と深い関連がある。
陰陽五行説で青は東、赤は南、黄色は中央、白は西、黒は北を象徴している。キムチはこのような五行の5つの色と5つの味をもつ韓国の代表的なオリジナルフードだ。
キムチが韓国を代表する食べ物である理由は、このようにキムチの味や色、外見の中に韓国人固有の文化と精神が込められているからだと言えるだろう。
韓国語表現
<오방색(五方色)と음양오행설(陰陽五行説)>
黄色:東洋哲学で事物を構成する成分だといわれる五行のうち土で、宇宙の中心だ。五方色のうち最も重要で尊い色と考えられており、王だけが黄色い服を着ることができた。青色:五行のうち木で、東に当たる。すべての生物が生まれる春の色だ。 創造、新しい生命を意味し、悪い気をもった悪霊を退け、福を願う色として用いられた。
白色:五行のうち金で、西に当たる。清潔、真実、生などを意味し、韓民族が白い服を好んで着る理由にもなった。
赤色:五行のうち火を表わし、すべての生物が数多く生まれる暖かい南に該当する。 太陽、火、血などのように、新しい誕生、創造、情熱や愛情を意味する。
黒色: 五行のうち水に当たり、北で人間の知恵を統率する。
韓国の伝統料理キムチ
韓国人は外国に旅行してもキムチは欠かせないと言い、私はそれに対して文句を言っていましたが、韓国生活10年を経て私も韓国人化したようです。
そんなキムチの魅力を探ってみましょう。
現在のキムチの味の特徴
刺激の強い本場のキムチを毎日食べていたためか、日本の淡白な食事だけでは時に物足りなく近頃は自分でキムチを漬けるまでになってしまいました。
そんな現在の一般的なキムチは唐辛子の粉を用い赤く、塩辛を入れ、白菜の新鮮な味、乳酸菌のやや酸っぱい味、炭酸によるすっきりした味、薬味によるピリッと刺す味、塩辛によるコクが交わった味がします。
キムチの歴史は?
ただ、こういった現在のキムチになったのはほんの300年ほど前のことだと言われています。それではキムチはいつ、どういった形で始まったのでしょうか。
キムチの由来を調べてみると、3000年前中国で저(菹)という名前で現れ始めたようです。
この言葉は野菜を塩漬けしたものという意味で、そうすることで生野菜を長期間食べれるようにした保存食だったのです。
日本でいう漬物のような感じだったのかもしれません。韓国では三国時代にこのような形で中国から伝来されたと記録にあるようです。
始めは大根だった!
ただそれからも、現在キムチの材料として使われている白菜、唐辛子は韓国に存在していなかったため、主に大根を使った白いキムチだったんですね。
その後白菜が中国から入って来て、唐辛子は日本から伝来されました。それによって18世紀後半ぐらいに、赤くてピリリと辛い現在のキムチが誕生しました。
キムチの種類
韓国には200種を超えるキムチがあるといいます。地域ごとに種類、味も少しづつ違いがあり、ソウルは文化生活中心の都市なので様々なキムチを食することができます。
生臭くないエビの塩辛を入れて淡白な味のキムチが多く、料理が美味しいと言われる全羅道地域のキムチは海産物が入った薬味をたくさん入れ、味が濃く塩辛く辛いキムチとなっているようです。
中部地方の忠清道は比較的味が弱くて薬味が少なく貝やエビの塩辛を使い、素朴で淡白な味のキムチが多く、なすびのキムチやホウレンソウのキムチ、牡蠣のキムチが有名です。
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それでは今日は韓国で食事をした際に使える表現を見てみましょう。
会話
일본인: 아~ 이 김치는 정말 시다. 난 신선하고 아삭아삭한 김치가 좋은데.
日本人:あ~このキムチは本当に酸っぱいなぁ。私は新鮮でサクサクしたキムチが好きなのに。
한국인:넌 아직 김치 맛을 모르는구나. 익은 김치로 만든 김치 찌개는 고소하고 진한 맛이 최고야.
韓国人:あなたはまだキムチの味が分からないんだね。熟したキムチで作ったキムチチゲは香ばしくて濃い味が最高だよ。
日本のキムチは日本仕様
日本で販売しているキムチ(김치ではなく기무치と表される)は日本人の舌に合うようにサクサクとした浅漬けのようです。
韓国ではこのように塩漬けされた白菜を少しの薬味で和え겉절이(コッジョリ)として食卓に出す時があります。
この食感も十分に舌を楽しませてくれますが、しっかりと熟したキムチにも深い味わいがありくせになる美味しさです。ぜひお試しくださいね。
歴史と文化的背景、そして健康効果
日本で初めて知り合う方に必ず一度は聞かれる質問があります。
“韓国の食べ物って全部辛いの?”または“韓国の人ってみんな辛い味強いの?”です。
辛さの定番、唐辛子
実際韓国人は辛い料理をよく食べます。辛くない料理にわざわざ唐辛子の粉を入れて、少しでもピリ辛にして食べる人をよく見かけるほど、辛い味を好みますね。
辛さを決める調味料にはいろいろありますが、その中でも韓国人は고추(唐辛子:コチュ)が一番好きです。
コチュとコチュッガル
고추(唐辛子:コチュ)と고춧가루(唐辛子の粉:コチュッガル)
고춧가루(唐辛子の粉:コチュッガル)や、唐辛子で作る고추장(コチュジャン)を料理に入れるだけでなく、出汁をとる時に入れたり、そのままかじって食べたりもします。
このように、韓国の人たちはほぼ毎日のように何らかの形で唐辛子を食べていて、そういうところから唐辛子は韓国人の元気や力の源とも言われています。
ダイエット効果も?
唐辛子にはカプサイシンが多く含まれていて、特にこの成分は脂肪燃焼に効果があることで日本でも有名になっています。
韓国の女性たちの間でもこれが話題となったことから、唐辛子ダイエットが流行ったこともあります。
もちろん、唐辛子だけをずっと食べたり、食べすぎたりすると、胃腸に負担がかかって健康的に危なくなる可能性があります。普段の食事と一緒に適量を食べるのが一番効果的です。
食堂でも基本的に풋고추(青唐辛子:プッコチュ)やニンニクが、キムチや他のおかずと一緒に必ずと言っていいくらい出てきます。
焼肉の必需品
特に焼肉の삼겹살(サムギョプサル)などを食べる時は必須になります。
サムギョプサルを쌈(サム)で包んで食べる時には切ってある青唐辛子を入れて食べて、サムに入れなくてもそのまま味噌をつけて食べます。
コチュジャン
最近は삼겹살(サムギョプサル)を고추장(コチュジャン)で長い時間ねかせた고추장 삼겹살(コチュジャンサムギョプサル)もその人気が広まっています。
고추장 삼겹살(コチュジャンサムギョプサル)
これはコチュジャンの辛さが脂っこいお肉をあっさりとした味にしてくれる絶品です。
でも、このコチュジャンサムギョプサルを食べる時も青唐辛子を欠かせないところは、韓国人の辛いもの好きがよく分かる一面でもあります。
韓国の元気の素・唐辛子
他にも唐辛子は抗がん効果がありますし、血液も綺麗にしてくれるので、韓国人の健康を守ってくれるありがたい食材と言えます。
そして、食欲が出るようにしてくれたり、ストレス解消にも効果があるので、韓国人は唐辛子から元気をもらっていると言っても過言ではないでしょう。
みなさんも疲れたときは、食事に少しの唐辛子をプラスして、元気を取り戻してみてはいかがでしょうか。
韓国各地のキムチ
韓国を代表する食べ物であるキムチ、日本でもおなじみですよね。
本場にはどんな種類の気向きがあるのでしょうか?
奥が深いキムチ作り
【キムチを手作り!】
最近では、自分で作る人も増えてきています。
実は私も作ってみましたが、失敗に終わりました。何が悪かったのか・・・
実は第一段階から失敗。白菜を塩に漬けるところから、すでに失敗していました。
【キムチ作りのポイント】
分量はレシピを見て作ったので、問題なかったのですが、漬ける時間や白菜の品質状態を見極めなければならなかったのです。
白菜の水分が多いのかなど、この段階が1番重要だということを思い知った日となりました。
ちなみに、とてもしょっぱくなってしまい、チゲやキムチチャーハンとして食べました。
キムチ作りは奥が深いですね。
地域別キムチ
では、早速地域別でみる代表的キムチをご紹介していきましょう。
ソウル 배추김치(白菜キムチ)
全羅道 가지김치(茄子キムチ)
京畿道 총각김치(小大根キムチ)
黄海道 호박지(熟したかぼちゃキムチ)
忠清道 나박김치(大根と白菜キムチ)
平安道 백김치(白キムチ・唐辛子を入れない白菜キムチ)
慶尚道 깻잎김치(ごまの葉キムチ)
咸鏡道 콩나물김치(もやしキムチ)
江原道 해물김치(海鮮キムチ)
済州島 나박김치/해물김치
本当に色々なキムチがありますね。
今日は地域別代表的キムチでしたが、次回は他のキムチもご紹介したいと思います。
韓国語会話
가: 철수야 , 넌 어느 김치를 좋아해?
チョルス~どのキムチが好き?
나: 내가 가장 좋아하는 김치는 총각김치!!!
僕は小大根キムチが大好き!