国が違えば言語も代わり、考え方も違います。それによって日本語では普通に使われる表現が、他の国の人にはおかしく感じられることがあります。
今回はそんな表現の一つ「~したいと思います」を見てみましょう。
韓国語にはない表現「~したいと思います」
日本語で自分の意思を表現するとき頻繁に「~したいと思います」が使われます。
しかし、韓国語でのこのような表現がありません。
表現への違和感
私が初めてこの表現を聞いたときの話をしたいと思います。
日本語の勉強をしてやっと日本語での会話ができるようになったとき、知り合いの日本人の友だちが自分の論文の発表会に私を招待しました。
それで、友だちを応援するため、かなりの前の席に座って友だちの発表を聞く用意をしていました。
いよいよ友だちの発表の番が来たのです。
友だちは「私は、~について発表したいと思います」と言いました。
その瞬間私は、「なんで?発表したいと思えばすればいいのに…しかも、今から発表するし…発表するなと言ってもどうせするでしょう…」と思いました。
そこから、友だちの論文の内容は頭に入ってこなかったのです。
意思を表す表現
では、韓国人は自分の意思を表現するときにどのような表現を使うのでしょうか。
할래/할래요 -ㄹ 래 を使うことによって、ある行動をしようとする自らの意思を表す。
할게/할게요/하겠습니다 -ㄹ 게 を使うことによってある行動をすると“約束”する意味です。
例
집에 갈래(家に行く)⇒ 家に自ら行くという意思を表す。
집에 갈게(家に行く)⇒ 家に行くという“約束”の意味を表す。
では、どのように実際に使われているか具体的に見てみましょう。
例文
오늘 너무 피곤해서 먼저 집에 갈래요. 괜찮겠어요?
今日、疲れすぎて先に家に帰りたいです。
김씨: 내일 내 생일이야. 그래서 우리집에서 파티를 하려고 하는데 우리집에 올래?
キムさん:明日、私の誕生日なんだ。それで家でパーティをしたいんだけどうちに来てくれる?
이씨: 정말? 생일 축하해. 그럼 내일 너희집에 갈게. 내일 봐.
イさん:本当に?誕生日おめでとう。では、明日キムさんの家に行くね。明日会おうね。
~について発表する
次に、韓国語で友だちが論文を発表する場合、どのように表現すべきだったのでしょうか。
「지금부터 ~에 대해서 발표하겠습니다.」と言ったと思います。
論文の発表は前から決まっていたので今から「~について発表をする」ということが聴衆との約束と言えます。
また、一般に韓国人が”~할래/할래요”をいうと、意思を表現しているとはわかるけど軽い感じがします。
まるで、小さな子供が親に対しておやつをくれと駄駄をこねているような感じがします。
国民性と言葉の違い
では、なぜ韓国語には日本語のような「~したいと思います」という表現がないのでしょうか。
それは、韓国人の性格にあると思います。
したいのであれば「する」したくないのであれば「しない」。
また、思っているのだけであれば思っているだけで済むのです。
日本と韓国は距離的には近いですが、国民の性格はこれだけ異なりますね。