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餅、と言えばお正月・冬をイメージする方が多いと思います。
しかし、韓国では冬に限らず様々な場面で餅が登場するので、韓国人にとってはとても身近な食べ物だと言えるんですよ。
韓国のお餅の種類とソンピョン(松餅):その特徴と食文化への影響
韓国の餅の種類
トックッ
韓国もお正月に餅を食べます。年明けではなく旧暦の1月1日に食べるのが日本と少し違いますが、韓国もお雑煮のような汁物で餅を食べるんです。
떡국(トックッ)という名前のこの料理はお雑煮と一緒で、地域によってまたはその家庭によって入る具材や味が変わります。
トックッ
餅の形は大体同じで、가래떡(ガレトック)という白く細長い餅を斜めに薄く切って入れます。
ガレトック
これを新年に食べることで長く生きれるようにという意味が込められています。白い色は厄除けの意味もあるそうです。
トックッを一杯食べると一才歳を取ると昔から言われていて、子供たちは早く大きくなりたいとトックッを何杯も食べたりして、大人たちが思わず微笑んでしまう場面が見られたりもします。
ソンピョン
そして、韓国では旧暦の8月15日が추석(秋夕:チュソク)と言って親戚が多く集まったり、お墓参りへ行く大きな祝日の一つになります。
その日の前日ごろに必ず家族みんなでやることがあります。それは송편(ソンピョン)という餅を作ることです。
ソンピョン
生地と餡子を用意して餃子のように包んで作るのが一般的で、大人から子供まで参加します。
ソンピョンを可愛く作れると可愛い子供を産めるという言い伝えがあって、特に女の子たちの間では、誰が一番可愛く作れるのか競争したりもしていました。
最近は家で直接作るより、でき上がったものを買う家庭が増えてしまっていますが、これからも守っていきたい韓国の大事な風習の一つですね。
ムジゲトック
お祝いをする時には、派手な飾りやデコレーションが欠かせないですね。そういう日などに必ず登場する餅があります。
それが무지개떡(虹餅:ムジゲトック)です。
ムジゲトック
この餅はその名前通り、鮮やかな色の餅が何層も重ねられていて、赤ちゃんの初誕生日などの盛大な祝宴の膳に載せられることが多いです。
この綺麗な色を出すために使われるのは人口色素ではなく、野菜や雑穀などの天然素材です。なので優しくほのかな色作ることができるのです。
シルトック
韓国の伝統的な全ての餅の中でも、その基本となるのは시루떡(シルトック)という餅です。
シルトック
様々な種類があるシルトックですが、特に多く食べられているのは小豆入りのシルトックです。
昔から韓国人は厄除けの意味があると言われている小豆を入れてシルトックを作って食べたり、それを近所の人たちに配ったりしていました。
引っ越しをした後は必ずその小豆入りのシルトックを持って挨拶を回ったりするところは、韓国人の人情深い特徴がよく出てるとも言えます。
ソンピョン(松餅)韓国のチュソク(旧暦のお盆)を代表する食べ物
韓国のお正月やお盆には、食卓のテーブルの足が折れるほど先祖を供養するためのお供えを準備します。
特にチュソク(旧暦のお盆)を代表する食べ物「ソンピョン(松餅)はより一層心をこめて作ります。
ソンピョンどんなもの?
ソンピョンはうるち米の粉をこねて、小豆、豆、栗、なつめ、ごま等でつくった餡をいれて半月の形にし、松の葉を敷いて蒸したお餅です。
私が幼い頃はチュソクの前日が家族全員でソンピョンをつくる日でした。遊びにいくこともできず、一日中ソンピョン作りに追われていたことを思い出します。
良縁と子のかわいさ
ソンピョンを作り始めて1時間もたつと、もう飽きて遊びたくなり、適当につくっていると決まって母の口から出る言葉がありました。
「ソンピョンをきれいに作ったら、いい家にお嫁に行って、かわいい娘を生むんだよ。」
その言葉が幼心にもどれほど重くのしかかってきたことか、また姿勢を正して丹精こめてソンピョンをつくったものでした。
それで、友達同士の間で「○○ちゃんちのお母さんはソンピョンをきれいに作ったみたいね!」、
「うちのお母さんはソンピョンを適当につくったみたい」と言い合っては、顔のコンプレックスをソンピョンのせいにしたりもしました。
ソンピョンの歴史
今はソンピョンの形は色々ですが、もともとソンピョンの形は半月のかたちだったんですよ。どうしてですかって?
三国時代から
ソンピョンの起源は、三国時代にさかのぼります。宮殿の地中からカメが出てきたのですが、カメの背中には、「百済は満月、新羅は半月」と書かれていたそうです。
そこで、百済の31代目の王様、義慈王が占術師をよんでその意味を尋ねます。
【満月と半月の意味】
百済は満月なのでこれから傾き始めるという意味であり、新羅は半月なのでこれから徐々に大きくなって満月になると言ったそうです。
その後、新羅は三国統一を成し遂げるんですよね。
それで、百済の人々は半月の形のソンピョンをつくって食べ、今後の運とよりよい未来を祈ったといわれています。
日本では月見団子
韓国人がソンピョンを食べる日、日本では「月見だんご」を食べ、中国では「月餅」を食べます。名前は違えど、共通点はどれも月と関係があるということです。
中国は月餅
韓国では旧暦8月15日に半月の形のソンピョンを作りますが、中国では同じ日にまるい月の形を象徴する月餅を食べます。
初めは栗、すいか、梨、柿など、形の丸い果物とともに、お月さまにささげるお供えとして使われていました。
時代の流れとともに、十五夜の月を見ながら月餅を食べる風習に変わっていったといわれています。
この日は近しい人たちと一緒に月餅を食べながら、互いの幸せを祈ります。
ソンピョンは高カロリー
ソンピョンもこのように、互いの幸せを祈って一緒に食べるお餅なので、チュソクの日にはたくさん食べるしかないといったところ。
問題はソンピョンのカロリーが想像をはるかに超えるほど高いということです。「どのぐらいか?」ですって?
【5~6個でご飯1杯分】
一般的に韓国料理の一食分の熱量は450~550kcalぐらいですが、ピンポン玉一つ分ぐらいのソンピョンを5~6個食べただけで、なんとご飯一杯分、300kcalぐらいになるほどカロリーが高いのです。
「チュソクは体重を戻すのがお正月より大変」という言葉があるぐらいですから、体重との戦いを繰り広げている方にとっては「恐怖のソンピョン」といっても過言ではないでしょう?
ソンピョンの話
엄마: 지우야, 송편 빚자.
母親: ジウ、ソンピョンつくろう。
지우: 엄마 이렇게 많이 만들어요?!!
ジウ:ママ、こんなにたくさん作るの。
엄마: 친척들도 많이 오니까 넉넉히 만들어야지.
親戚も大勢来るから、たっぷり作らなきゃ。
지우: … 아이고 허리야~ (대충대충 만듦)
…あ、腰が~(適当に作る)
엄마: 송편을 예쁘게 만들어야 시집 잘 가서 예쁜 딸 낳는다.
ソンピョンをきれいにつくればいい家にお嫁に行って、かわいい娘を生むんだよ。
지우: 알았어요. 예쁘게 만들게요.
わかったわよ。きれいに作るわよ。