【保存版】韓国の万能調味料「ジャン」完全ガイド|コチュジャン等の違い・使い方から料理・文化まで
韓国料理の奥深い味わいを支える基本であり、食卓に欠かせない存在、それが「장(ジャン)」と呼ばれる調味料です。日本でもお馴染みの고추장(コチュジャン)をはじめ、된장(テンジャン/韓国味噌)、쌈장(サムジャン/合わせ味噌)など、様々な種類の「ジャン」があります。でも、「それぞれの違いって何?」「どうやって使い分けるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、韓国料理好きなら知っておきたい主要な「ジャン」の種類、それぞれの特徴、美味しい使い方、さらには関連する韓国の食文化まで、徹底的に解説します。これを読めば、あなたも「ジャン」マスター!いつもの食卓で本格的な韓国の味を楽しめるようになるはずです。
目次
韓国料理の味の決め手!「장 (ジャン)」とは?
「ジャン(醤)」は、大豆などを主原料として発酵させて作る、韓国の伝統的な調味料の総称です。日本の醤油や味噌に通じるものがありますが、韓国独自の製法と材料によって、独特の風味と旨味が生み出されています。

色も風味も様々!韓国料理の味のベースとなる多様な「ジャン」。
発酵食品としてのジャンの魅力
コチュジャンやテンジャンに代表されるように、「ジャン」の多くは発酵食品です。発酵の過程で生まれる複雑な旨味成分や、深いコク、豊かな香りが、韓国料理の独特な美味しさの秘訣となっています。また、キムチと並び、韓国の食文化を象徴する健康的な食品としても注目されています。
主なジャンの種類と概要
ひとくちに「ジャン」と言っても、その種類は様々です。この記事では、特に日本の家庭でも比較的手に入りやすく、韓国料理で頻繁に使われる以下の4つの「ジャン」を中心に解説していきます。
- 고추장 (コチュジャン): 唐辛子味噌。辛味と甘味、旨味のバランスが絶妙。
- 초고추장 (チョゴチュジャン): 酢コチュジャン。コチュジャンに酢や砂糖を加えた甘酸っぱいタレ。
- 된장 (テンジャン): 韓国味噌。日本の味噌より塩味が強く、深いコクがある。
- 쌈장 (サムジャン): 合わせ味噌。テンジャンとコチュジャンなどを混ぜ合わせた万能味噌。
それぞれの特徴と使い方を詳しく見ていきましょう。
定番から応用まで!主要な「ジャン」を徹底解説
コチュジャン (고추장):旨辛代表!唐辛子味噌
特徴と味わい:
日本でも最も有名な韓国調味料の一つ、고추장(コチュジャン)。その名の通り、「고추(コチュ:唐辛子)」の粉を主原料に、もち米粉や米粉、大豆麹、塩などを加えて発酵させて作られます。鮮やかな赤色と、唐辛子のピリッとした辛さだけでなく、発酵によって生まれる深い旨味と、もち米などのでんぷん質由来のほのかな甘味が特徴です。製品によって辛さのレベルや甘味の度合いが異なります。
定番の使い方(ビビンバ、炒め物、煮物):
コチュジャンの用途は非常に幅広く、韓国料理には欠かせません。最も代表的な使い方は、やはり비빔밥(ビビンバ)でしょう。ご飯とナムル、肉などを混ぜ合わせる際の味の決め手となり、コチュジャンの量で辛さや全体の味を調整します。

ビビンバの味の決め手はやっぱりコチュジャン!たっぷり混ぜて召し上がれ。
その他にも、豚肉や鶏肉、イカなどを野菜と一緒に炒める「ポックム(볶음)」、豆腐や魚介を入れた辛い鍋料理「チゲ(찌개)」や煮込み料理「チョリム(조림)」の味付けにも使われます。
応用レシピアイデア(ヤンニョムチキン、トッポギソース):
コチュジャンは、他の調味料と組み合わせることで、さらに多様な料理に活用できます。
- ヤンニョムソース:コチュジャンに砂糖、ケチャップ、ニンニク、醤油などを混ぜて作る甘辛いソース。フライドチキンに絡めれば、人気のヤンニョムチキンが作れます。
- トッポギソース:コチュジャンをベースに、砂糖、醤油、粉唐辛子、だし汁などを加えて煮詰めれば、屋台の定番トッポギのソースになります。
- 和え物の味付け:茹でた野菜や魚介と和えれば、ピリ辛の和え物(ムチム:무침)が簡単に作れます。
チョゴチュジャン (초고추장):甘酸っぱさが魅力!酢コチュジャン
特徴と味わい:
초고추장(チョゴチュジャン)は、コチュジャンに「초(チョ:酢)」や砂糖、水飴、ニンニク、ごまなどを加えて作られる、甘酸っぱくて少し辛いタレ状の調味料です。「酢コチュジャン」とも呼ばれます。コチュジャンよりもサラッとしており、そのままディップソースとして使うのに適しています。
定番の使い方(刺身、和え物、サラダ):
韓国では、刺身(フェ:회)を食べる際、醤油ではなくチョゴチュジャンにつけて食べるのが一般的です。魚介の味と甘酸っぱいチョゴチュジャンの相性は抜群。イカやタコ、貝類などにもよく合います。また、生野菜や茹で野菜、海藻などと和えて、さっぱりとした和え物を作るのにも使われます。サラダのドレッシングとしても活用できます。
自家製チョゴチュジャンの作り方:
市販品も便利ですが、自宅でも簡単に作れます。基本的な材料はコチュジャン、酢、砂糖(または水飴)。これらをお好みの割合で混ぜ合わせ、お好みで刻みニンニクやすりごま、レモン汁などを加えるだけ。甘さや酸っぱさ、辛さをご自身の好みに調整できるのが自家製の魅力です。
テンジャン (된장):韓国の味噌!深いコクと旨味
特徴と味わい(日本の味噌との違い):
된장(テンジャン)は、大豆を発酵させて作る韓国の伝統的な味噌です。日本の味噌と似ていますが、一般的に日本の味噌よりも塩分濃度が高めで、発酵期間が長く、より濃厚で深いコクと独特の風味を持っています。粒が残っているものが多く、色も濃い茶色をしているのが特徴です。日本の味噌汁のようにそのまま溶いて飲むというよりは、煮込み料理や鍋料理のベースとして使われることが多いです。
定番の使い方(テンジャンチゲ、ナムル):
テンジャンの最も代表的な料理は、何と言っても된장찌개(テンジャンチゲ)でしょう。豆腐、野菜、きのこ、貝類など、様々な具材をテンジャンベースのスープで煮込んだ、韓国の家庭料理の定番中の定番です。煮込むほどにテンジャンの旨味が深まり、ご飯との相性も抜群。「白いご飯とキムチ、テンジャンチゲがあれば他には何もいらない」と言う韓国人もいるほど、ソウルフードとして愛されています。
また、茹でた野菜と和えるナムルの味付けや、肉や魚の下味、スープの隠し味などにも使われます。
テンジャンを使ったその他の料理:
- テンジャンクク(된장국):テンジャンチゲよりもあっさりとした味噌汁風のスープ。
- テンジャンポックム(된장볶음):肉や野菜をテンジャンで炒めた料理。
サムジャン (쌈장):焼肉の相棒!合わせ味噌
特徴と味わい:
쌈장(サムジャン)は、テンジャンとコチュジャンをベースに、ニンニク、玉ねぎ、ネギ、ごま油、砂糖などを混ぜ合わせて作られた「合わせ味噌」です。テンジャンのコクとコチュジャンの辛味・甘味がバランス良く合わさり、さらに香味野菜の風味が加わることで、そのまま食べても美味しい、万能調味料となっています。
定番の使い方(サムギョプサル、野菜スティック):
サムジャンの名前の由来は、「쌈(サム:包む)」という食べ方から来ています。「サム」とは、サンチュやエゴマの葉などの葉物野菜で、ご飯や焼いた肉、そしてサムジャンを一緒に包んで食べる韓国独特の食文化です。特にサムギョプサル(삼겹살)を食べる際には、サムジャンは欠かせない存在です。焼いた豚バラ肉にサムジャンを少し乗せ、ニンニクや青唐辛子などと一緒に野菜で包んで食べれば、まさに本場の味!
また、キュウリや人参などの生野菜スティックにつけるディップソースとしても人気があります。
サムジャンのアレンジと活用法:
市販のサムジャンに、刻みニンニクやネギ、青唐辛子、砕いたナッツ、ごま油などを加えるだけで、より風味豊かな自家製サムジャンになります。炒め物や和え物の味付け、ご飯に混ぜ込んでおにぎりにするなど、アイデア次第で様々な料理に活用できます。
その他の「ジャン」たち(カンジャン、ヤンニョムジャンなど)
上記以外にも、韓国料理で使われる「ジャン」には様々な種類があります。
- 간장 (カンジャン): 韓国の醤油。日本の醤油に比べて色が薄く、塩味が強いもの(クッカンジャン:スープ用)や、色が濃く甘味があるもの(チンカンジャン:煮物や炒め物用)など、用途によって種類があります。
- 양념장 (ヤンニョムジャン): 醤油ベースの合わせ調味料。醤油にネギ、ニンニク、粉唐辛子、ごま油、砂糖などを混ぜて作られ、チヂミのタレや和え物、豆腐料理などに幅広く使われます。
- 막장 (マクチャン): テンジャンの一種で、比較的短期間で熟成させたもの。独特の風味があります。
- 청국장 (チョングッチャン): 日本の納豆に似た、強い香りが特徴的な発酵大豆食品、およびそれを使ったチゲ。
本場の味を食卓へ!「ジャン」を使った韓国料理レシピ例
基本的な「ジャン」の使い方を覚えたら、実際に料理を作ってみましょう!ここでは簡単なレシピ例をいくつかご紹介します。
簡単!テンジャンチゲの作り方
- 鍋にごま油を熱し、薄切りにした豚肉(または牛肉)と刻みニンニクを炒める。
- 肉の色が変わったら、テンジャンを加えて軽く炒め合わせる。
- 水または煮干しだしを加え、煮立ったらアクを取る。
- 角切りにした豆腐、ズッキーニ、玉ねぎ、きのこなど、お好みの具材を加える。
- 具材に火が通ったら、お好みで粉唐辛子やコチュジャンで辛味を調整し、長ネギや青唐辛子の小口切りを散らして完成。
ピリ辛美味しい!豚肉のコチュジャン炒め(チェユクポックム)
- 豚肉(薄切りまたは細切れ)に、コチュジャン、醤油、砂糖、すりおろしニンニク、すりおろし生姜、ごま油を加えてよく揉み込み、下味をつける。
- フライパンにごま油を熱し、下味をつけた豚肉を炒める。
- 肉の色が変わってきたら、玉ねぎ、人参、キャベツ、長ネギなど、お好みの野菜を加えて炒め合わせる。
- 全体に火が通り、味が馴染んだら完成。お好みで仕上げにすりごまを振る。
野菜たっぷり!ビビンバの作り方(コチュジャン活用)
- ほうれん草、もやし、人参、ぜんまいなどの野菜でナムルを作る。(それぞれ茹でて水気を絞り、塩、ごま油、すりおろしニンニク、すりごまなどで和える)
- 牛肉または豚ひき肉を、醤油、砂糖、ニンニクなどで甘辛く炒める。
- 丼にご飯を盛り、準備したナムルと肉、キムチなどを彩りよく乗せる。
- 中央に目玉焼きまたは卵黄を乗せ、コチュジャンを添える。
- 食べる直前によく混ぜ合わせる。お好みでごま油を少々回しかける。
もっと知りたい!韓国の食文化と「ジャン」
「ジャン」は単なる調味料ではなく、韓国の豊かな食文化と深く結びついています。
定番から穴場まで!韓国の人気料理
記事中でも触れられているように、韓国には「ジャン」を使った料理以外にも、キムチ、韓国海苔、チヂミ、トッポギ、キンパ(韓国海苔巻き)、ククス(麺類)など、多種多様な美味しい料理があります。辛いイメージが強いかもしれませんが、牛肉を甘いタレで焼くプルコギや、あっさりとしたスープのソルロンタン、夏の定番冷麺など、辛くない料理もたくさんあります。
筆者が体験したカムジャタン(豚の背骨とじゃがいもの鍋)や、激辛注意のタッカルビ(鶏肉と野菜の鉄板炒め)なども、現地でぜひ試したい人気の味。日本で食べる韓国料理とはまた違った、本場の味付けを発見するのも旅の醍醐味ですね。
夏の風物詩ピンスと「以熱治熱」の食習慣
韓国の夏に欠かせないデザートといえば빙수(ピンス:かき氷)。定番の小豆が乗った「팥빙수(パッピンス)」のほか、近年はマンゴーやイチゴ、メロンなどのフルーツをふんだんに使った豪華なピンスが大人気です。
一方で、韓国には「이열치열(イヨルチヨル:以熱治熱)」という考え方があり、「暑い時には熱いものや辛いものを食べて汗をかき、暑さを乗り切る」という食習慣もあります。夏バテ防止に、参鶏湯(サムゲタン)のような滋養強壮によい熱々のスープや、辛いチゲなどを食べるのです。食べた後に「시원하다(シウォナダ:涼しい、すっきりした)」と言うこともあるそうですよ。
旅行者必見?韓国コンビニ事情と食
韓国のコンビニは、日本と同じようにお菓子や飲み物、軽食などが充実しています。限定のお菓子やインスタントラーメン、バナナウユ(バナナ牛乳)など、お土産探しにも便利です。ただし、文化の違いも。記事にあるように、日本では当たり前のようにコンビニでトイレを借りられますが、韓国では基本的に貸してもらえないことが多いです。公共のトイレや駅、デパートなどを利用しましょう。ちょっとした文化の違いを知っておくと、旅行中の戸惑いが少なくなりますね。
【韓国語での会話例:暑い日の定番?】
가:오늘도 너무 덥네.
今日もめっちゃ暑いね。나:응. 더워. 이런 날엔 매운 것을 먹어야지.
うん、暑いね。こんな日には辛いものを食べなくちゃ!가:퇴근 길에 술이나 한잔 하자!
会社帰りに一杯行こう!
自分に合う「ジャン」を見つけよう!選び方と購入ガイド
様々な種類の「ジャン」がありますが、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。ここでは、選び方のポイントや購入場所についてご紹介します。
市販品の選び方のポイント(メーカー、辛さ、原材料)
- メーカー・ブランド:韓国には数多くの食品メーカーがあり、それぞれ特徴のある「ジャン」を製造しています。いくつか試してみて、自分の好みに合う味を見つけるのがおすすめです。有名なメーカーとしては、CJ(bibigo)、スンチャン、ヘチャンドルなどがあります。
- 辛さレベル:特にコチュジャンは、製品によって辛さが異なります。「甘口(순한맛:スナンマッ)」、「普通(보통맛:ポトンマッ)」、「辛口(매운맛:メウンマッ)」などの表示を確認しましょう。
- 原材料:原材料表示をチェックし、添加物が少ないものや、こだわりの材料(例えば、もち米使用、天日塩使用など)で作られたものを選ぶのも良いでしょう。
- 容量:初めて試す場合は、使い切りやすい小さめのサイズから購入するのがおすすめです。
日本国内での購入場所(スーパー、韓国食材店、通販)
近年、日本の一般的なスーパーマーケットでも、コチュジャンやテンジャン、サムジャンなどが手に入りやすくなりました。より多くの種類から選びたい場合や、特定のブランドを探している場合は、韓国食材を専門に扱うお店や、オンライン通販を利用すると良いでしょう。新大久保などのコリアンタウンには、品揃え豊富な店舗がたくさんあります。
保存方法と注意点
「ジャン」は発酵食品ですが、開封後は冷蔵庫で保存し、なるべく早めに使い切るようにしましょう。特に夏場は品質が変化しやすいので注意が必要です。容器の口を清潔に保ち、水分が入らないようにすることも大切です。
まとめ:「ジャン」を使いこなして韓国料理をもっと楽しもう!
今回は、韓国料理の味のベースとなる調味料「ジャン」について、その種類、特徴、使い方、そして関連する食文化まで幅広くご紹介しました。
- コチュジャンは辛味と旨味の万能選手。
- チョゴチュジャンは甘酸っぱさが魚介や野菜と好相性。
- テンジャンは深いコクでチゲやスープの味を決める。
- サムジャンは焼肉や野菜ディップに欠かせない名脇役。
これらの「ジャン」の違いを理解し、上手に使い分けることで、いつもの料理がぐっと本格的な韓国の味に近づきます。和食に醤油や味噌が欠かせないように、韓国料理には「ジャン」が不可欠です。
ぜひ、今回ご紹介した情報を参考に、色々な「ジャン」を試して、お気に入りの味を見つけてください。そして、様々な韓国料理に挑戦し、食卓をもっと豊かに、もっと美味しく彩ってみてはいかがでしょうか。