「どういたしまして」を韓国語で言う:様々な表現をマスターしよう

    1. 日常会話で覚える韓国語

    他の人から「ありがとう」と言われると嬉しくなりますね。そのときの返事として思い浮かぶのは「천만에요」かもしれませんが「どういたしまして」には他にも言い方があります。

    今回は様々な「どういたしまして」の韓国語表現を学習しましょう。

    「どういたしまして」を韓国語で言う:様々な表現をマスターしよう

    「どういたしまして」の一般的な表現「천만에요(チョンマネヨ)」

    相手の言葉を否定して、謙遜を表す挨拶の言葉「どういたしまして」に相当する韓国語で、最もポピュラーな言葉は「천만에요」です。「천만」は漢字で書くと「千万」となります。

    韓国には「천만 대군이 밀려온다 해도 나는 물러서지 않겠다.(千万の大軍が押し寄せてくるとしても、私は引き下がらない。)」という言葉があります。

    そこから「千万」は大きな数、すなわち数えきれないほどの数を象徴する意味として、「(あなたの言葉が)千万という大きな数で、過分というか頂き過ぎ」、つまり「とんでもないです」という意味になるわけです。

    韓国語の勉強をしている方の中には、参考書や先生から「どういたしまして」は「천만에요」と習ったという方が多いかと思います。

    教科書の最初の方で必ず出てくる言葉でもありますが、その割に「천만에요」は日常会話ではあまり使いません。日本語でも「どういたしまして」と言う機会がほとんどないのと同じような感じです。

    ここでマメ知識。「程度がとても大きい」ということを意味する「천만」ですが、「아주」「매우」といった「とても」「本当に」といった副詞的意味に転換して使われることもあります。

    천만다행이다(非常に幸運である)」ですね。こちらの表現はたびたび使われるので、覚えておくとよいですよ。

    はい、それでは話を「どういたしまして」に戻しますね。「천만에요(チョンマネヨ)」という言葉があまり使われないのであれば、韓国ではありがとうの返事としてどのような言葉を使っているのでしょうか。

    よく使われる感謝に対する返答の仕方をいくつかご紹介していきましょう。

    オレンジ色のセーターを着た女性が手を見せてカメラに向かってポーズをとっている。

    いろいろな韓国語の「どういたしまして」

    별말씀을요(ビョルマルスムルヨ)

    目上の方からの感謝の言葉への返答として「천만에요」の代わりに使える表現に「별말씀을요」(とんでもないです)があります。

    こちらは元は「별말씀을 다 하세요(ビョルマルスムルターハセヨ)」(とんでもないことです)という言葉なのですが、それが縮約された形です。

    目上の人に向かって使う言葉ではありますが、かなり目上の人や、大事なお客様などに使用する場合には「별말씀을요」よりも更にかしこまった「별 말씀을 다 하십니다」(とんでもございません)という表現も使います。

    별말씀」の「」は「意外な」「大した」といった意味があり、「」は「言葉」という意味で、「말씀」となると「お言葉」という丁寧な表現になります。ですので、この「별말씀」は「思いがけないお言葉」という意味になりますね。

    それでは、どういうシーンで使われるのか見てみましょうか。

    팀장석훈씨 덕분에 잘 해결됐어요. 고마워요.

    チーム長:ソクフンさんのおかげでうまくいったよ。ありがとう。

    팀원석훈):팀장님, 별말씀을요.

    スタッフ(ソクフン):チーム長、とんでもないですよ。

    별 말씀을 다 하십니다(ビョルマルスムルターハシムニダ)

    こちらは「별말씀을요」のより丁寧な表現です。かなり目上の人や大事なお客様等に対して使います。

    例えば上の例に登場したチーム長やソクフンさんが会社の会長や社長から「ありがとう」と感謝された際には「별 말씀을 다 하십니다」を使うと良いですね。

    별말씀을(ビョルマルスムル)

    そしてこれは友達や同僚に対して使う少しカジュアルな言い方です。とはいえ丁寧な「말씀」が含まれていますので、やや丁寧ではあります。日本語に訳すと「そんなことないですよ~」といった雰囲気でしょうか。

    아니에요(アニエヨ)

    一般的にお礼を言われたときには、事実や内容の否定を表す「아니다」(違う)を使って「아니에요」(いえいえ)と言います。最も一般的で自然な表現ですね。

    日本語でもお礼に対して少し気恥ずかしい感じで「いえいえ」と言いますが、そのニュアンスに近いと言えます。

    지수:고마워요. 모두 정국 씨 덕분이에요.

    ありがとうございます。全てジョングクさんのおかげです。

    정국:아니에요.

    いえいえ。

    上の例よりももう少しかしこまって、そして丁寧に言う場合は「아닙니다(アニムニダ)」を使います。

    例えばジョングクさんの会話の相手が会社の上司だったり、先輩だったり(親しい間柄の先輩の場合は「아니에요」でもOKですが)する場合「아닙니다」と言うと良さそうですね。

    友達同士であればもっとラフで砕けた表現を使います。「아니에요」の「반말(ため口。友達同士や後輩等につかうフランクな言葉づかい)」の「아니야(アニヤ)」を使っても良いですね。

    정국:바빴을 텐데, 와줘서 고마워.마음이 많이 든든하네.

    忙しかっただろうに、来てくれてありがとう。無茶苦茶心強いよ。

    서준:아니야, 친군데 당연하지.

    いやいや、友達なんだから当然だろ。

    上のような状況の時は、本当に気恥ずかしいですよね。「아니야」を「アニヤァ~」と語尾を少し上げて言うととても自然な感じになりますよ。

    テーブルに座り握手をする韓国人女性2人。

    괜찮아요(クェンチャナヨ)

    日本語でも「ありがとう」の返事で「大丈夫」と返すことがありますが、韓国でも同じような使い方をします。

    問題がないことを表す形容詞「괜찮다」(大丈夫だ)を使って、「괜찮아요」(大丈夫ですよ)と返答することができます。

    ちなみにこの「괜찮아요」ですが、「大丈夫」という意味で以外にもさまざまな場面で使われます。

    例えば、誰かに何かを勧められた時には「괜찮아요(結構です)」という意味ですし、今回のような「どういたしまして(いえいえ、大丈夫です)」といった意味でも使われ、韓国人がよく使う言葉の一つでもあります。

    この「괜찮아요」も先ほどの「아니에요」と同じく、より丁寧な「괜찮습니다」は目上の人に対して丁寧な表現として使えます。

    반말(ため口。友達同士や後輩等につかうフランクな言葉づかい)」の「괜찮아」は友達に使うカジュアルな言い回しとして使えます。

    それでは、どういうシーンで使われるのか見てみましょう。

    수지:준현아, 짐을 들고 오느라 많이 힘들었지. 고마워.

    ジュニョン、荷物持って上がってくるの大変だったでしょ。ありがとう。

    준현:괜찮아, 이 정도는 껌이지뭐.

    いやいや、このくら余裕だよ。

    ここでマメ知識。「이 정도는 껌이지」とはどういう意味でしょうか。この言葉は若者言葉で、直訳すると「これぐらいはガムだよ」という意味です。

    簡単だということを「ガム」にたとえ、若者たちの間で「朝飯前、余裕、楽勝」といった意味で使われています。「ガム」を噛みながらでも出来るほど余裕、簡単という意味でしょう。

    この「괜찮아요」を「どういたしまして」と使うシチュエーションは、上の例のように相手の「ありがとう」という感謝の言葉に少し申し訳ない気持ちが見え隠れするような状況です。「どういたしまして、いえいえ、大丈夫です」といった意味で使われることが多いようですね。

    고맙기는요(コマッキヌンヨ)

    고마워요」「고맙습니다」(ありがとうございます)と感謝されたら、「고맙기는요」(ありがとうだなんて)と言って、丁寧に否定することもできます。

    「ありがとう」だなんて言われるほどの事はしてませんよという意味が込められた表現と言えます。

    これは形容詞「고맙다」(ありがたい)の語幹に、他の人が言ったことに同意できないときに使う「~기는요」(~だなんて)が付いた形ですね。

    この「고맙기는요」も「반말(ため口。友達同士や後輩等につかうフランクな言葉づかい)」にした「고맙긴」は友達や同僚に使えるカジュアルな言い回しです。覚えておきたいですね。

    それでは、どういうシーンで使われるのか見てみましょう。

    지수:도와줘서 고마워요.

    手伝ってくれてありがとうございます。

    미나:고맙기는요. 별것도 아닌데요.

    ありがとうだなんて。大したことじゃないですよ。

    「大したことないです」は「별 거 아니에요」や「별일 아니에요」とも言います。「」とは「별말씀」でも出てきた「意外な」「大した」といった意味があります。

    上の会話例のように、お礼を言われる側が「大したことではない」と思うようなシチュエーションで使われます。

    「ありがとう」とかしこまって言われるほどの間柄じゃない、つまり親しい間柄なのに「ありがとう」だなんて水臭いといった気持ちがするような場合にはこの表現が使われることが多いですね。

    뭘요(ムォルヨ)

    次のフレーズは一見「どういたしまして」に使えるのかな?と思われる言葉ですが、「何をおっしゃいますか」という意味で、こちらも感謝の言葉の返答としても使えます。

    この「뭘요」の「」は「무엇을」(何を)の縮約形です。直訳では「何をですか」となりますね。この「무엇을」の後には言葉では直接表現されていない「말씀하시는 거예요」(おっしゃいますか)といったニュアンスが含まれています。

    それでは、どういうシーンで使われるのか見てみましょう。

    시어머니선희야, 이런 비싸고 귀한걸 사줘서 고맙다야.

    姑:ソンヒ、こんな高くて珍しい物をプレゼントしてくれてありがとうね。

    며느리(선희)뭘요,어머니. 어머니 건강을 챙기는 것도 며느리 몫이에요.

    嫁:何をおっしゃいますか、お義母さん。お義母さんの健康に気を遣うのも嫁の務めですから。

    上の会話の例でもわかるように、この「뭘요」(何をおっしゃいますか)の中には「当然ですよ」という意味も複合的に含まれています。

    ソンヒさんは嫁の務めだと答え、直接的には「당연하다」(当然だ)という言葉は使っていません。ですが「当然ですよ」というニュアンスが含まれています。

    この会話の内容が当然なのかはさておき、「뭘요」を使うシチュエーションは「ありがとう」に対し「当たり前のことをしたまでだよ」と感じた場合だと言えます。

    デニムシャツを着た笑顔の韓国人男性。

    友達同士で使える韓国語の「どういたしまして」

    さてここからは少し友達同士で使えるフレーズをご紹介します。

    韓国は日本と比べて人間関係において比較的距離が近い、つまり親しい友人は家族のように関係が近かったりします。

    親しい間柄では困ったことがあれば当然助け合う、何かあれば駆けつけるという関係で、それに対してあまり改まってお礼をしたりしなかったりします。

    当然のことなのでお礼を言うなんて水臭い(寂しい※親しい関係だと思っていたのにという意味で)「섭섭하다」となるわけですね。

    少し長くなりましたが、友達同士の場合はこれからご紹介する「그래~」であったり、次以降にご紹介するフレーズのような「わかったよ」だったり「当たり前だよ」という意味のシンプルな言葉で返答することが多いのです。

    그래~(クレ~)

    그래~」は、「うん、わかったよ」というフレーズです。

    하민:지난주 빌려준 책 갖고 왔어. 덕분에 시험 잘 봤어, 고마워.

    先週借りた本、持ってきたよ。お陰でテスト上手くいったよ。ありがとう。

    지민:그래~. 그럼 다음에 한번 밥사줘.

    うん~(わかったよ)。それじゃ(お礼として)今度飯おごれよ。

    ここでマメ知識。「〇사줘」という言葉は、直訳では「買ってくれ」となりますが、「奢って」という意味で使われています。前に「」(ご飯)だったり「커피」(コーヒー)だったりを付けて使われるフレーズです。

    韓国人は友人間や親しい先輩等にもカジュアルにこのように「奢ってよ」と言うことがあります。これは親しい間柄だからこそ、少し軽い感じで冗談めいて言うことがあると覚えておくと良いですね。

    「ありがとう」に対して否定していないので、捉え方によっては偉そうな感じに聞こえますが、だから親しい間柄であるからこそ使えるフレーズと言えますね。そして後輩や目下の人、子供に対して使いやすい表現とも言えるでしょう。

    また「밥사줘」はとにかく一緒にご飯を食べるのが好きな韓国人らしい親しい間柄で使う表現です。会話例のようなシチュエーションで使えますので、一緒に覚えておくと良いですよ。

    네~(ネ~)

    네~」は「はい~」というフレーズで、こちらも友達のような親しい間柄で使える表現です。

    그래~」と同じように相手の「ありがとう」という感謝の気持ちを否定せずに受け入れる表現で、後輩や目下の人、子供に対しても使いやすい表現であると言えます。

    それでは、どういうシーンで使われるのか見てみましょう。

    수민:내 예기 들어줘서 고마워.

    私の話聞いてくれてありがとう。

    영지:네~. 언제든지.

    うん、いつでも。

    ここでの「네~」は、語尾を少し長めにそして上げて「ネ~」という言い方の方が「うん、わかったよ」という気持ちが伝わりやすく自然な感じがしますので、言い方も意識して使ってみてくださいね。

    뭐가 고마워(ムォガコマウォ)

    뭐가 고마워」は「何がありがとうだよ(当たり前、同然だよ、という意味で)」で、こちらも上の2つ同様、友達や親しい間柄に使えるフレーズです。

    この表現は、先に説明した通り韓国人の人間関係の考え方が反映された表現といえます。

    友達でも家族のように困ったことがあれば助け合う、何かあれば駆けつける韓国人ですから、親しい間柄の人に「ありがとう」と言われると「何がありがとうだよ」と思うこともあります。

    そういう時は「뭐가 고마워」と返しましょう。「そんなの当たり前なんだからわざわざありがとうって言わなくてもいいよ」というニュアンスです。

    유진:실은 혼밥하기 싫었어. 와줘서 고맙다.

    実は、独りご飯するの嫌だったの。来てくれてありがとう。

    지혜:친구끼린데 뭐가 고마워.

    友達なんだから、何がありがとうよ(当然でしょ)。

    혼〇」の〇の部分に「」(ご飯)や「술」(酒)などを入れて使われるフレーズで、独りでご飯を食べたり、お酒を飲んだりすることを指します。日本でいうところの「おひとりさま」でしょうか。

    韓国では以前は独りでご飯を食べていると、一緒にご飯食べる人が居ない可哀そうな人と見られたものですが、最近では韓国でもソロ活が増えてきたようです。

    この背景には、先に述べたように当然のことなのでお礼を言うなんて水臭い(寂しい※親しい関係だと思っていたのにという意味で)「섭섭하다」という感情が同居しています。

    ですので「뭐가 고마워」と言う時は、少し強く「親しいと思ってたのに、何よ…」といった拗ねた感じで言ってみるのも自然な感じがして良いですね。是非挑戦してみてくださいね。

    韓国でラップトップを見ているビジネスマンのグループ。

    とても丁寧な韓国語の「どういたしまして」

    당치도 않으십니다(タンチド アヌシムニダ)

    さて、こちらが最後のフレーズです。「당치도 않으십니다」はかなり目上の人に対して使う「ありがとう」に対する返答で「とんでもございません」「滅相もございません」という意味になります。

    あまり普段の生活で使う場面が無いかもしれませんが、知っておくと良い言い方で、「당치않다」「당치도 않다」を尊敬語に変えた言い方ですね。

    ここで言う「かなり目上の人」とは、例えば韓国ドラマでよく描かれる「재벌」(大金持ち全般を指す意味で使われます)と言われる大企業の社長、会長のような人がわかりやすい例でしょうか。

    それでは、どういうシーンで使われるのか見てみましょう。

    회장님:자네 아이디어로  매출이 많이 올랐다고 들었어. 고맙다.

    会長:君のアイデアで売上がかなり上がったと聞いたよ。ありがとう。

    대호:제 아이디어라니 당치도 않으십니다.

    私のアイデアだなんて…、とんでもございません。

    この表現は日本語でもなかなか使う機会が無い表現ですので、韓国語でこの言葉を使う事は無いかもしれませんが、韓国ドラマ好きな方は、ドラマでこの言葉を耳にするかもですよ。是非、覚えておきましょう!

    まとめ

    今回は韓国語の「どういたしまして」の色々な言い方をご紹介いたしました。この記事でご紹介した「どういたしまして」についてのまとめをしますと…

    • 日本語でも「どういたしまして」とあまり使わないように、韓国語でも状況に合わせて「どういたしまして」ではない違う表現を使う
    • 천만에요」は一般的な会話でほとんど使われない
    • 「どういたしまして」には「천만에요」以外にも「별말씀을요」「아니에요」「괜찮아요」「고맙기는요」「뭘요」「그래~」「네~」「뭐가 고마워」「당치도 않으십니다」といった表現がある

    韓国語でお礼を言われたときには、そのシチュエーションや相手に合わせて今回出てきたフレーズを駆使してくださいね。

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