目次
韓国人恋人同士でよく「자기야(チャギヤ)」とお互いを呼び合うシーンを、韓国ドラマで観たことはありますか。韓国語の愛称は日本語とは異なり、恋人同士だけでなく、友達や先輩、後輩の間でも使われます。
今回はこの「자기야(チャギヤ)」という愛称についてご説明いたします。ぜひ日常会話に活かしてみるのはいかがでしょうか。
韓国で使われる愛称「チャギヤ」って何?
そもそも자기야(チャギヤ)の意味とは
자기야(チャギヤ)の자기(チャギ)は、「自己」「自分」という意味です。자기소개(チャギソゲ)の「자기(チャギ)」ですね。
야(ヤ)は相手を親しく呼ぶときに末尾に付ける愛称で、日本語に直すと「~ちゃん」です。
자기야(チャギヤ)を直訳すると「自分」「自分自身」という意味になります。すなわち、まるで自分自身のように大事な人という意味を込めて相手のところを자기야(チャギヤ)と呼びます。
英語の「ダーリン」「ハニー」という意味に非常に近いですね。
자기야(チャギヤ)は、恋人同士の愛称
자기야(チャギヤ)という言葉には「まるで自分自身のように大事な人」という意味があります。恋人同士でお互いを呼び合う代表的な愛称です。
名前の代わりに呼ぶことが多く、言葉としてのニュアンスも可愛らしく、愛嬌が感じられる愛称です。
これは男性も女性も使える愛称ですので、性別によって呼び方や言い方などは変わりませんが、夫婦関係においては、特に新婚時代によく자기야(チャギヤ)と呼び合うことが多いです。
しかし新婚時代に자기야(チャギヤ)と呼び合っていた夫婦でも、子どもが生まれると別の愛称に移ることも多くあります。恋人同士の愛称としてよく使われているものと理解していただき、会話に活用していただければと思います。
それでは具体的な例文にて覚えてみましょう。
태연: 자기야, 오래 기다리게 해서 미안해!
チャギヤ、お待たせしてごめんね!
수호: 아니야, 자기야. 나도 방금 왔어.
ううん、チャギヤ。僕も今来たばかりだよ。
준호: 자기야, 집에 도착하면 전화해.
チャギヤ、家に着いたら電話して。
유주: 알았어, 자기야. 10분 뒤에 전화 걸게.
分かった、チャギヤ。10分後に電話するね。
유리: 오늘 데리러 와줘서 고마워, 자기야.
今日迎えにきてくれてありがとう、チャギヤ。
민혁: 내가 보고싶어서 데리러 온 건데 뭐가 고마워.
俺が会いたくて迎えに行っただけだからありがとうって言わなくてもいいよ。
자기야(チャギヤ)と자기(チャギ)の違い
자기야(チャギヤ)と자기(チャギ)の違いについて説明していきます。
자기야(チャギヤ)の意味は「ダーリン」「ハニー」といった愛称と説明しました。ただ場合によっては末尾に야(ヤ)が付かず、자기(チャギ)としか言わない時もありますが、何が違うのでしょうか。
もちろん자기(チャギ)は、자기야(チャギヤ)から末尾の야(ヤ)が消えただけですので、자기(チャギ)だけでも英語での「ダーリン」「ハニー」という意味として相手を呼ぶ愛称として使われます。
ただ、자기야(チャギヤ)と자기(チャギ)の間に大きな違いはあります。
자기야(チャギヤ)は愛称としての意味しかありませんが、자기(チャギ)は相手のことを示す言葉として使われています。
例えば자기야(チャギヤ)は英語での「ダーリン」「ハニー」という意味でしか使われませんが、会話や文中で자기(チャギ)としか言わないときは、その意味が「君」「あなた」という二人称の意味に変わる場合があります。
それでは、ここで具体的な例文を見ていきましょう。
윤서: 자기야, 지금 뭐 해?
チャギヤ、今何してるの?
지민: 지금 자기 생각하고 있었지.
今チャギ(君)のこと考えていたよ。
준수: 나는 단 음식은 별로 안 좋아해.
俺は甘いものはあまり好きじゃないんだ。
지은: 자기도 나랑 똑같네.
チャギ(あなた)も私と同じだね。
지아: 자기, 사랑해.
チャギ、愛してる。
승호: 나도 사랑해, 자기.
僕も愛しているよ、チャギ。
자기야(チャギヤ)って呼んでもいいのは、恋人だけ?
자기야(チャギヤ)という愛称は恋人同士でよく使われるのですが、韓国では恋人同士でなくても相手を呼ぶ愛称として使われています。恋人同士ではないが、相手のことを자기야(チャギヤ)と呼ぶ場合は大きく2つに分けられます。
まず1つ目は、親しい女友達同士である場合です。韓国では女友達同士でよく腕を組んで歩いたり、ハグしたりすることがよくあり、友達間の距離が近いことが一般的です。
女友達同士で恋愛感情が一切なくても、相手のことを자기야(チャギヤ)と呼ぶ女友達もいます。
2つ目は、目上の女性が同性の部下や後輩を呼ぶ時です。目上の女性が同性の部下や後輩に対して、本当は少し怒っているがそれを隠す、もしくはやんわりと伝えるために呼ぶことがあります。
ですので、そこまで仲が良いわけでもない、目上の上司から자기야(チャギヤ)と呼ばれた時には要注意ですね。
また、자기야(チャギヤ)はため口です。もし目上の上司や先輩から자기야(チャギヤ)と呼ばれたとしても、上司や先輩に対して絶対자기야(チャギヤ)を使わないように気を付けましょう。
それでは具体的な例文を見てみましょう。
지아: 어머, 자기야! 같이 노래방 갈래?
あら、チャギヤ!一緒にカラオケ行く?
윤주: 좋아, 몇 시에 갈까?
いいよ、何時に行こうか?
예린: 자기야, 도와줘서 고마워.
チャギヤ、助けてくれてありがとう。
미나: 자기랑 나 사이잖아. 이정도는 할 수 있지.
チャギ(あなた)と私の仲だもん、これくらいはできるよ。
윤지선배: 자기야, 잠깐 이리로 와 볼래?
ユンジ先輩:チャギヤ、ちょっとこっちに来てみる?
영지: 네, 선배님. 무슨 일이세요?
はい、先輩。どうしました?
주아과장: 자기야, 내가 저번에 부탁했던 일은 언제 끝나는 거니?
ジュア課長:チャギヤ、私がこの前にお願いしたお仕事はいつ終わるの?
민주사원: 죄송합니다. 하루만 더 기다려 주시면 안 될까요.
ミンジュ社員:申し訳ございません。もう一日待っていただけませんか。
자기야(チャギヤ)だけじゃない韓国語のその他の愛称
자기야(チャギヤ)は韓国で代表的な愛称の一つですが、実は자기야(チャギヤ)以外にも恋人同士でお互いを呼び合う愛称があります。자기야(チャギヤ)以外の愛称も知っておくことで、韓国語の語彙力がより豊かになるでしょう。
それでは자기야(チャギヤ)以外の愛称にはどういったものがあるか、3つをご紹介いたします。
애기야(エギヤ)
この愛称も韓国の恋人同士で使われる愛称の一つです。
애기야(エギヤ)の애기(エギ)は「赤ちゃん」という意味ですので、英語での「ベイビー」と同じですね。
この愛称は、もともと韓国ドラマ「パリの恋人」に出たセリフの一部です。2004年に韓国で放送された「パリの恋人」は、当時最高視聴率50%という驚異的な視聴率を記録した大人気ドラマでした。
このパリの恋人のワンシーンで、男性主人公のパク・シニャンがヒロインのことを애기야(エギヤ)と呼ぶシーンがありました。この애기야(エギヤ)という愛称が韓国の視聴者の間で大きな反響を呼び、その後韓国では恋人同士での愛称として定着するようになりました。
それでは、会話の例文を見ていきましょう。
기주: 애기야, 가자!
エギヤ、行こう!
태영: 어디 가는데?
どこ行くの?
예진: 자기야, 사랑해!
チャギヤ、愛してる!
현빈: 나도 사랑해, 애기야.
僕も愛してるよ、エギヤ。
오빠(オッパ)
「오빠(オッパ)も愛称なの?」と思われる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん오빠(オッパ)の本来の意味は「お兄ちゃん」という意味で、女性が年上の男性兄弟を呼ぶ時の呼称です。
ですが日常生活では、女性が年上の男性を呼ぶ時に使われる愛称でもあり、実際に韓国の男性の多くは오빠(オッパ)と呼ばれるのが大好きです。
また韓国では、恋人同士でも女性のほうが男性より年下である場合は、彼氏のことを오빠(オッパ)と呼ぶのが一般的です。本当の兄弟でなくても年下の女性に오빠(オッパ)と呼ばれて喜ばない韓国人男性はいないと言っても過言ではないですね。
では、こちらについても会話の例文を見ていきましょう。
준호: 오빠만 믿어!
オッパ(お兄ちゃん)だけ信じて!
윤아: 역시 오빠밖에 없어.
やっぱりオッパ(お兄ちゃん)しかいない。
혜진: 오빠 너무 좋아!
オッパ、大好き!
원빈: 오빠도 혜진이가 너무 좋아.
オッパもヘジンが大好きだよ。
유리: 오빠, 집에 가면 연락해.
オッパ、家に着いたら連絡してちょうだい。
민석: 이따가 오빠가 전화할게.
あとでオッパが電話するね。
누나(ヌナ)
누나(ヌナ)は男性が年上の女性を呼ぶ時に使う愛称です。本来の意味は男性が姉を呼ぶ時の呼称ですが、오빠(オッパ)と同じように、必ずしも実の姉でなくとも、年上の女性や好きな年上の女性を누나(ヌナ)と呼ぶことがあります。
例えばK-POPアイドルグループSHINeeのデビュー曲だった「누난 너무 예뻐(ヌナンノムイェッポ)お姉さんはとてもきれい」にも、
タイトルから누나(ヌナ)という言葉が出てきますね。この曲は、年上の女性のことを누나(ヌナ)と呼び、この누나(ヌナ)に男として見られたいという歌詞の曲です。
昔の韓国は、恋人または夫婦間で年の差があるのは当たり前、しかも男性のほうが年上で女性が年下である場合が一般的でした。ですので、女性側が付き合っている男性のことを오빠(オッパ)と呼ぶのも一般的でした。
しかし最近の韓国では、年上年下カップルといって、女性が年上、男性が年下のカップルも増えて来ています。
오빠(オッパ)ほどではないですが、彼氏に누나(ヌナ)と呼ばれると「彼氏のことがかわいい」「母性本能を刺激する」と感じ、누나(ヌナ)と呼ばれると嬉しいという女性も増えています。
それでは、こちらも例文を見てみましょう。
수정: 무슨일이야? 왜 전화했어?
どうしたの?なんで電話したの?
민호: 아무 일도 없어요. 그냥 누나 목소리 듣고싶어서요.
何もないです。ただヌナの声が聞きたくて…。
태민: 누나, 내일 뭐해요?
ヌナ、明日何するんですか?
미연: 내일은 집에서 쉴 거야.
明日は家で休もうかなって
연아: 뭐 하고 싶은거 있어?
何かしたいことある?
기범: 누나랑 영화보고 싶어.
ヌナと映画観たいな。
준수: 누나, 보고싶었어요.
ヌナ、会いたかったです。
미주: 나도 너 많이 보고싶었어.
私もあなたに会いたかったよ。
韓国の夫婦間で使う愛称
韓国語では恋人同士の愛称だけではなく、夫婦がよく使う愛称もあります。
恋愛結婚した夫婦だと、結婚前からお互いを呼び合っていた愛称を引き続き使うこともありますが、夫婦になると少し愛称に変化が生じたり、新婚生活を経て子供ができると愛称が変わったりすることもあります。
ここでは、夫婦間でよく使われる愛称を説明いたします。
여보(ヨボ)
여보(ヨボ)は、性別関係なく、夫婦間でお互いを呼ぶときに使われます。日本語であれば「おい」「ねぇ」といった意味に近いですね。
여보(ヨボ)の由来は、여기 보세요(ヨギボセヨ)。日本語に訳すと「こちらを見てください」の略語という説が有力です。
여보세요(ヨボセヨ)というのを聞いたことはありますか?日本語の「もしもし」のように、誰かを呼ぶときに使う言葉で、これの最後の部分「セヨ」(丁寧さを表す末尾言葉)が落ちた表現です。
それでは、こちらも具体的な例文を見てみましょう。
영하: 여보, 물 좀 갖다 줘.
ヨボ、お水持ってきて。
민주: 냉장고에 있는 거 꺼내 드세요.
冷蔵庫にあるから自分で飲んでください。
우성: 여보, 생일 축하해!
ヨボ、誕生日おめでとう!
청하: 고마워요, 여보.
ありがとう、ヨボ
당신(タンシン)
당신(タンシン)は、日本語でいう「あなた」「あんた」という意味です。かつ相手を敬う呼び方でもあり、基本的には女性が自分の配偶者に対して使う愛称になります。
また、相手を敬う言葉ですので、詩や歌詞で「あなた」という意味でよく당신(タンシン)と書きます。
例外的に、赤の他人に対しても당신(タンシン)という場合もありますが、この場合は「あんた」「お前」という意味に変わってしまいますので、당신(タンシン)を日常会話で使う時には注意しましょう。
それでは、こちらも具体的な例文を見てみましょう。
민주: 당신, 오늘도 고생했어요.
タンシン、今日もご苦労様。
영하: 아니야, 여보도 고생했지.
いや、ヨボ(君)も苦労したね。
우성: 당신 주려고 선물을 사왔어.
タンシンにあげようと思ってプレゼントを買って来たんだ。
청하: 어머, 뭐 이런걸 다 사왔어? 감동이야.
あらま、こんなものを買って来たなんて。感動しちゃったわ。
〇〇엄마(〇〇オンマ)/ 〇〇아빠(〇〇アッパ)
日本語においても夫婦間で子供が生まれるとお互いへの呼称が名前から役割に変わることがありますね。例えば奥さんのことを「お母さん・ママ」、旦那さんのことを「お父さん・パパ」と呼ぶことが一般的かと思います。
韓国語でも夫婦の間に子供が生まれると、名前や愛称の代わりにお互いのことを「〇〇엄마(オンマ・母ちゃん)」、「〇〇아빠(アッパ・父ちゃん)」と呼びます。
韓国の夫婦間では、単にお互いを엄마(オンマ)や아빠(アッパ)と呼ぶことはなく、必ず엄마(オンマ)や아빠(アッパ)の前に子供の名前を付けます。
例えば子供の名前が「윤지(ユンジ)」なら、奥さんのことは「윤지엄마(ユンジオンマ)」、旦那さんのことは「윤지아빠 (ユンジアッパ)」と呼びます。
それでは、具体的な例文を見ていきましょう。
*子供の名前はジミン
지민: 엄마, 아빠, 내일 놀러가자!
母ちゃん、父ちゃん、明日遊びに行こう!
부인: 지민아빠, 내일 시간 돼요? 지민이랑 공원이라도 같이 갔다와요.
奥さん:ジミンアッパ、明日時間ある?ジミンと公園でも一緒に行ってきて。
남편: 지민 엄마, 그럼 내일 3시쯤 어때?
旦那さん:ジミンオンマ、じゃ明日3時ごろはどうかな?
*子供の名前はウンジ
남편: 은지 엄마, 이번주 일요일에 은지랑 유원지 갈래?
旦那さん:ウンジオンマ、今週の日曜日にウンジと遊園地行く?
부인: 은지아빠, 이번주 일요일에 바쁘지 않았어요?
奥さん:ウンジアッパ、今週の日曜日って忙しくなかった?
韓国語の愛称を使うときの留意点
ここまで紹介してきた愛称は、基本的には人や夫婦といった、特別に親しい仲でよく使われます。
上で紹介したように同性友達や上司が部下に対して使うこともありますが、微妙なニュアンスの近いがあることから、愛称の使い分けに自信がないうちは、恋人同士や夫婦間で使っていきましょう。
付き合っていない異性に対して「자기야(チャギヤ)」といった愛称を使うと「もしや僕(私)に気があるのでは?」「僕(私)のことが好きなのかな?」と思われてしまうこともあります。
また安易に目上の人に対して愛称を使ってしまうと、「礼儀正しくないやつ」「生意気なやつ」と思われることもありますのでくれぐれも相手を見極めてお使いください。
まとめ
ここまでたくさんの韓国語愛称を紹介してまいりましたが、いかがでしたか?みなさんが思った以上にたくさんの愛称があったのではないでしょうか。
夫婦間の愛称では日本語の感覚にも近い表現があり、韓国語への親近感がもっと沸いてきたのではないでしょうか。
韓国人、特に恋人同士だとお互いのことを名前で呼ぶのは少し素っ気なく感じることも多く、多くのカップルが愛称で呼び合っています。
ここで紹介した愛称の言葉は、あくまでも代表的なものに絞っただけですが、それぞれのカップルが決めた自分たちだけの愛称もたくさんあります。例えば相手の名前を少しいじったあだ名を愛称として呼んだりします。
みなさんに、もし愛情を込めて愛称で呼んでみたい相手がいましたら是非一度は使ってみてはいかがでしょうか。それがきっかけになって、もっと韓国語での会話が弾むかもしれません。
もしくは、いつも観ている韓国ドラマで、今まで聞こえて来なかった韓国語愛称が聞こえてくるかもしれません。
それでは、今日ご紹介した韓国語愛称がみなさんの役に立つことを祈っております。