韓国料理:タッベクスッとタッハンマリの歴史と文化を探る

  1. 韓国歴史・文化

サムゲタンには小さな鶏が使われていますが、大きい鶏の入ったスープをなんと呼ぶかご存知ですか?

韓国の鶏肉事情と合わせて見てみましょう。

韓国料理:タッベクスッとタッハンマリの歴史と文化を探る

タッハンマリの元祖タッベクスッ

サムゲタンの鶏

すこし前のこと、サムゲタンに詳しいある友人から教えてもらったことがあります。

サムゲタン用の鳥は孵化してからわずか1カ月のオスのひよこが用いられるということです。

「なんでオスなの?」と聞くと、メスのひよこは大きくなると卵を産むので、自分が食べるエサ代に充てることができます。

しかしオスのひよこは孵化して1か月もたつと、エサ代が鶏の値段より高くつくんです。

だから1か月以上育てても損だということでした。

タッベクスッとタッハンマリの鶏

若鶏はサムゲタンになり、大きくなった鶏は「タッベクスッ」(鶏を合わせ調味料等をいれずに煮込んだり、ゆでたりする料理)や「タッハンマリ」になります。

サムゲタンとタッベクスッとタッハンマリの共通点は、スープの中に鶏がまるごと入っていることです。

特に最近大人気のタッハンマリという料理に外国人観光客の視線が集中していますが、「タッハンマリ」の由来は1970年代にまで遡ります。

名前の由来

韓国で最も大きな衣類市場である東大門市場の近くにはタッハンマリの店が並んでいます。

タッハンマリの元々の名前は、「タッベクスッ」だったそうです。

タッハンマリを食べ物の名前として初めて使った店は1978年に開業したのですが、この店はタッベクスッの専門店でした。

鶏を一羽

その当時、近辺に東大門総合ターミナルがありました。

客の中にはバスの時間に間に合わせなければならない人も多くいました。

時間のない客は、ドアを開けたまま入ってきて、「ここ鶏(タッ)一羽(ハンマリ)ね」と注文をしたそうです。

料理の名前はタッベクスッなのだが、二羽でも三羽でもなく、一羽くれという意味で客は「タッハンマリ!」と注文し、それが料理の名前になったのです。

どんな料理?

タッハンマリはヤンプンと呼ばれる口の広い真鍮製の容器に鶏がまるごと入って出てきます。

まずガスコンロにかけて温め、直接ハサミで鶏を解体する必要があります。

肉と下に敷かれた餅は唐辛子、醤油、酢、からし等を混ぜ合わせたソースにつけて食べます。

肉を全部食べたら、そのスープにカルグクス(手打ちうどん)を入れて食べます。

これでも足りなければ、ご飯を入れてお粥をつくります。そしてタッハンマリを食べる時、普通お酒を一杯飲みます。

肉はつまみになるし、カルグクスとお粥は食事になります。

2人分で18,000ウォン程度の価格なので、つまみ+カルグクス+お粥を楽しめる一石三鳥の料理なわけですね。

鶏肉が入った韓国スープ。

東大門のタッハンマリ

東大門のタッハンマリは東大門市場の商人たちの食べ物として始まりましたが、今では東大門市場にショッピングに来る日本人観光客の間でも噂になり、今は客の半数が日本人です。

世界的なレストラン評価ブックである「ミシュラン・ガイド」の韓国版にタッハンマリの店が載り、話題になったこともありました。

タッハンマリの魅力

どんどんその人気が増しているタッハンマリの魅力は、何といっても肉から出るスープとソースにあります。

メインの材料である鶏肉にスープとソースの魅力が合わさり、抜群のハーモニーを醸し出すタッハンマリは、韓国で滋養食としての地位を不動のものとしています。

昔は婿殿が来たら、とっておきの씨암닦(シアムタッ)と言われる種付け用の鶏(ひよこを生ませる目的で育てるメンドリ-一般のメンドリは肉や卵を得ることを目的に育てる)をつぶして食べさせました。

鶏で見る時代の移り変わり

鶏の需給事情がよくなった1970年代以降、養鶏業を営む農家が一気に増え、全国どこでも市場の路地の入口で鶏肉専門店を目にするようになります。

幼い頃、村で養鶏場をしていたおじさんが学校の前に小さなひよこをもってきて、1匹100ウォンで売っていたものです。

私も200ウォンで一番健康そうに見えるひよこを2匹買って育てたことがあります。

いつのまにかオスのひよこの頭にはトサカが生え、メンドリは毎日毎日庭を歩きまわり、卵を産み始めました。

学校から帰ってくると、メンドリが産んだ卵を探しまわるのに一苦労でしたが、家で育てていた地鶏と違い、成長が本当に早くてびっくりしたことを思い出します。

タッハンマリの発展

遠い昔から、朝鮮半島では鶏を飼育していたが、思う存分食べることはできませんでした。

というのも、韓国産の地鶏は成長が遅く、卵もあまり産まないからなんです。

朝鮮戦争の後、アメリカが支援品として鶏40万羽を供給してくれ、その後鶏肉の需給事情は明らかに変わってきました。

1960年代には1000万羽、1970年代初頭には2000万羽を超えるように。

しかし、鶏がこんなにもあふれていても、韓国人の観念の中で「鶏は滋養食だ」という考えがなくならない理由は、健康と味とたっぷり感を楽しめる一石三鳥の料理の魅力のおかげかもしれませんね。

リスニング学習法

言語を聞くということは、単語の意味は100%聞き取れなくても、どんな話がでるか可能性を予測することができます。

そしてその意味をある程度理解することのできる能力だと言えるでしょう。

だから、リスニングの練習をする時、単語ひとつひとつを分析しながら聞こうとするより、「何を聞くべきか?」といった目的のある練習がリスニング能力を向上させます。

リスニングのための言葉は、文章と違って一瞬で消えてしまいます。

文章を読む時は理解できなければ前に戻ることもできるし、後回しにして読むこともできます。

しかし、言葉は過ぎたものを戻して、もう一度聞くことはできません。

リスニング練習で最も大切なことは、「何を聞くべきか?」という目的のあるリスニングの練習をすることなのです。

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