日本人にとって冷麺は食事の一部ですよね。ところが韓国では、どうやら様子が違うようです。
本場では、いったいどのように食べられているのでしょうか?
冷麺は韓国人の食後のデザート?
食後にデザートを食べる習慣のない韓国人も、불고기(プルコギ:焼き肉)を食べた後は必ずデザート(冷麺)を食べます。
最後に冷麺を食べてようやく後味がさっぱりしたと感じる韓国人にとって、冷麺は最高のデザートなんですよ。
焼き肉を食べた後、口直しにシャーベットやケーキを食べる日本の方にとっては、口直しに冷麺を食べるというのは理解しがたい話でしょう。
「すみません、ここ冷麺2つお願いします」
「いや、冷麺ひとつ、ビビン冷麺ひとつお願いします」
冷麺とビビン冷麺の間で悩んだ末に、どちらか一方に決めた瞬間、あ~やっぱりビビン冷麺にすればよかった、あ~やっぱり冷麺にすればよかったと悔いが残ります。
今は冷麺の種類が本当に多くなりましたが、韓国で冷麺といえば「平壌(ピョンヤン)冷麺」、ビビン冷麺と言えば「咸興(ハムフン)冷麺」が代表的です。
冷麺の元祖でもあるこの二つの冷麺の故郷は北朝鮮なんですよ。
冷麺は韓国にはなかった料理
冷麺の歴史
冷麺は主に北朝鮮でよく食べられていましたが、初めは高麗時代にモンゴルから入ってきました。
その後、主原料であるソバの実が特別手をかけなくてもよく育つ山地の多い西北地域や江原道以北地域で主に発達しました。
このような理由で、北朝鮮で愛されていた冷麺は、朝鮮戦争の時に北側の避難民が入ってきて、韓国でもその地位を確立したのです。
朝鮮戦争時、本格的な嗜好食品として、全国で愛され始めた初期の冷麺は、真冬にさつまいもを収穫した後、さつまいものでんぷんでつくった麺をゆでて、冷たくした後、暖かいオンドル部屋でキムチと一緒に食べた冬の食べ物です。
その後、南方の温暖な地方のさつまいもの収穫期に合わせて、冷麺を楽しむ時期が変わり始め、本格的な商品としての地位を固めるにつれて、季節に関係なく楽しむ食べ物となりました。
麺の違い
平壌冷麺と咸興冷麺の違いは、まず麺が違います。
【平壌冷麺】
平壌冷麺はソバの実を原料としており、ざらっとしていて太く、食べるとブツブツ切れるぐらいです。
【咸興冷麺】
比べて、咸興冷麺の麺はじゃがいもやさつまいものでんぷんが主原料で、細くてコシがあります。
冷麺の特徴
【平壌冷麺】
食べ方の違いは、平壌冷麺は氷がプカプカ浮かんだ水キムチの汁に入れて食べる물냉면(ムルレンミョン:水冷麺)式。
平壌道地方では、冷麺は寒い冬に食べてこそ、本来の味が味わえると考えられています。
【咸興冷麺】
辛くて酸味のきいたタレにエイやカレイのさしみをのせて食べるビビン冷麺や회냉면(フェネンミョン:さしみ冷麺)が咸興冷麺です。
咸興冷麺はコシのある麺と辛くて濃厚な冷麺のビビン醤が特徴です。
咸慶道の特産物であるじゃがいものでんぷんが含まれているので、本当に弾力のある触感を楽しむことができます。
食べ方の違い
【咸興冷麺】
冷麺にお酢とカラシを添え、육수(ユクス)と呼ばれる牛肉でだしをとった温かいスープと一緒に食べると、全身から汗がふきでてきます。
このような辛いタレと温かい肉のスープは咸慶道地域の過酷な冬に体を温まるのに十分でした。
咸興冷麺はこのようにやせた土地を開墾して生きていった咸慶道の人々の強靭な気質のように、食べる人にも強靭な印象を与えるのが特徴です。
【平壌冷麺】
一方、平壌冷麺は寒い冬の一食として、またはお酒を飲んだ後の해장국(ヘジャンクッ:酔い覚ましのスープ)として食べたそうです。
もともと冷麺は水キムチが熟成してくる真冬だけの特別な一品として楽しまれていまいた、現代では真夏の冷たい暑気払いの食べ物へと、認識は180度変わったと言えるでしょう。
韓国語表現
<本題に入る/話題を変える時に使う言葉>
–사실은 実は
–그럼 では
–어쨌든 とにかく
–그런데 ところで
–있잖아요… え―っとですね…
–하지만 でも
–예를 들면 たとえば