【2025年版】ソウル人気韓屋村(北村・益善洞)&江陵(カンヌン)の見どころ完全ガイド:歴史と絶景を巡る旅
韓国旅行の魅力は、最新のトレンドだけではありません。昔ながらの街並みや、奥深い歴史文化に触れることも、旅の大きな醍醐味です。今回は、韓国の伝統家屋「韓屋(ハノク / 한옥)」の風情が色濃く残るソウルの人気エリアと、歴史的な偉人ゆかりの地であり、美しい自然も楽しめる江原道(カンウォンド)の都市・江陵(カンヌン / 강릉)の魅力をたっぷりとご紹介します。
ソウルでは、都心にありながらタイムスリップしたかのような感覚を味わえる韓屋村を散策し、江陵では、歴史上の人物の足跡を辿り、風光明媚な景色に癒される。そんな、韓国の伝統と地方の文化、両方を満喫できる欲張りな旅のプランを提案します。この記事を読めば、ソウルと江陵、それぞれの必見スポットや楽しみ方がわかります。さあ、歴史と絶景を巡る、特別な韓国の旅へ出かけましょう!
目次
ソウルの人気韓屋マウル巡り:都心に残る伝統とトレンド
近代的な高層ビルが立ち並ぶソウルの中心部にも、瓦屋根が連なる美しい伝統家屋「韓屋」が集まるエリアが大切に残されています。それぞれ異なる歴史と雰囲気を持つ、代表的な韓屋マウル(マウル / 마을 は「村」や「集落」の意味)を3つご紹介します。

北村韓屋マウル:坂道から望む伝統的な瓦屋根と現代ソウルの対比
北村韓屋マウル:高台から望む瓦屋根の絶景
북촌 한옥마을 (プクチョン ハノンマウル)
景福宮(キョンボックン)と昌徳宮(チャンドックン)、二つの古宮に挟まれた丘陵地帯に広がるのが「北村韓屋マウル」です。その名の通り、昔の都の中心部(清渓川と鍾路の北側)に位置することから「北村」と呼ばれました。朝鮮時代には王族や高級官僚(両班)が多く住んでいた高級住宅街であり、現在も立派な瓦屋根の韓屋が密集して残っています。
このエリアの最大の魅力は、坂道や路地を歩きながら楽しめる美しい景観です。特に「北村八景」と呼ばれる8つのビュースポットが設定されており、瓦屋根が連なる風景や、迷路のような路地、遠くに望む現代的なソウルのビル群との対比など、写真映えする景色がたくさんあります。第5景や第6景あたりからの眺めは特に人気があります。
ただし、北村は現在も多くの住民が実際に生活している居住地域です。観光の際は、大声で騒いだり、無断で敷地内に入ったりせず、静かにマナーを守って散策することを心がけましょう。「静粛観光(조용한 관광 / チョヨハン クァングァン)」の看板も各所に見られます。
周辺には、おしゃれなカフェや雑貨店が集まる三清洞(サムチョンドン)通りも隣接しており、合わせて散策するのもおすすめです。
- アクセス: 地下鉄3号線 安国駅 2番または3番出口から徒歩
- 見どころ: 北村八景、伝統家屋の街並み、ソウル市街の眺望
- 注意点: 居住地域のため静粛観光を心がける、坂道や階段が多い
西村:路地裏に息づく芸術と生活の香り
서촌 (ソチョン)
景福宮の西側に広がるエリアが「西村」と呼ばれます。北村が高級官僚の街だったのに対し、西村は朝鮮時代には訳官(通訳)や医官などの中人階級(専門職層)が多く住んでいたエリアです。そして驚くべきことに、ハングルを創製した世宗大王の生家もこの地にあったとされています。
近代以降は、詩人の尹東柱(ユン・ドンジュ)や画家の李仲燮(イ・ジュンソプ)など、多くの芸術家たちがこの地に住み、活動しました。そのため、今でも西村の路地裏には、どこかノスタルジックでアーティスティックな雰囲気が漂っています。
北村ほど韓屋が密集しているわけではありませんが、迷路のように入り組んだ細い路地に沿って、昔ながらの商店や小さな韓屋が点在し、人々の生活感が色濃く感じられます。レトロな雰囲気が魅力の「通仁市場(トンインシジャン)」でお弁当体験(葉銭弁当)を楽しんだり、おしゃれなカフェや個性的なギャラリーを巡ったりするのもおすすめです。大通りから一本入った路地歩きが楽しいエリアです。
- アクセス: 地下鉄3号線 景福宮駅 2番または3番出口から徒歩
- 見どころ: 通仁市場、大悟書店(ソウルで最も古い書店)、朴魯寿美術館、個性的なカフェやギャラリー、生活感のある路地
- 特徴: 北村より落ち着いた雰囲気、庶民的・芸術的な空気感

益善洞韓屋マウル:韓屋をリノベーションしたカフェやショップが並ぶ
益善洞韓屋マウル:レトロモダンな魅力満載!おしゃれスポット
익선동 한옥마을 (イクソンドン ハノンマウル)
地下鉄の鍾路3街(チョンノサムガ)駅のすぐ北側に位置する「益善洞韓屋マウル」は、近年、若者を中心に絶大な人気を集めているホットプレイスです。ここは、1920年代に不動産開発業者によって庶民向けの住宅地として計画的に造成された、ソウルで最も古い韓屋村の一つと言われています。
北村や西村の韓屋とは異なり、益善洞の韓屋は比較的小規模で、レンガ造りの壁やガラス窓など、近代的な建築要素が取り入れられているのが特徴です。入り組んだ狭い路地が迷路のようで、探検気分を味わえます。
現在、これらの韓屋はリノベーションされ、個性的なカフェ、レストラン、バー、雑貨店、アクセサリーショップ、さらにはレトロなゲームセンターや写真館などが軒を連ねています。どの店も内装や外観に工夫を凝らしており、歩いているだけでワクワクします。特に週末は大変混雑するため、時間に余裕を持って訪れるのがおすすめです。伝統的な韓屋の骨格は残しつつ、現代的な感性で彩られた、まさにレトロモダンな魅力が詰まったエリアです。
- アクセス: 地下鉄1・3・5号線 鍾路3街駅 4番または6番出口から徒歩すぐ
- 見どころ: リノベーションされた韓屋カフェ・レストラン・ショップ、レトロな雰囲気の路地
- 特徴: 若者に人気、トレンド感、活気がある、路地が狭く混雑しやすい
歴史と自然が息づく江陵(カンヌン)へ:五輪開催地の文化探訪
ソウルから足を延ばして、韓国の東海岸、江原道にある都市・江陵(カンヌン / 강릉)を訪れてみませんか? 2018年の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックでは、氷上競技の会場となったことでも知られています。美しい海岸線だけでなく、韓国史上の重要人物ゆかりの地や、由緒ある伝統家屋など、文化的な見どころも豊富な魅力的な都市です。

船橋荘:江陵に残る名家の壮麗な韓屋と美しい庭園
烏竹軒:申師任堂と栗谷李珥ゆかりの地
오죽헌 (オジュコン)
江陵を代表する史跡の一つが「烏竹軒」です。ここは、韓国の5万ウォン札の肖像画である申師任堂(シン・サイムダン)と、その息子であり5千ウォン札の肖像画である大学者・栗谷李珥(ユルゴク・イ・イ)が生まれた家として知られています。申師任堂は、良妻賢母の鑑とされる一方で、詩や書画に優れた才能を発揮した女性芸術家でした。栗谷李珥は、朝鮮時代を代表する儒学者であり、政治家としても活躍しました。
「烏竹軒」という名前は、家の周囲にカラスのように幹の黒い竹(烏竹)が多く生えていたことに由来します。敷地内にある母屋(夢龍室:モンリョンシル)は、韓国に現存する住宅用木造建築としては最も古いものの一つとされ、国宝に指定されています。他にも、栗谷の遺品を保管する「御製閣(オジェガク)」や、栗谷記念館、江陵市立博物館などが併設されており、二人の偉人の生涯や功績、そして江陵地域の歴史について詳しく学ぶことができます。
- 所在地: 江原特別自治道 江陵市 栗谷路 3139番キル 24
- アクセス: 江陵駅からタクシーで約10~15分、または市内バス利用
- 見どころ: 国宝指定の母屋、夢龍室、御製閣、江陵市立博物館、黒い竹(烏竹)
- 入場料: 有料
鏡浦台と鏡浦湖:風光明媚な湖畔の楼閣
경포대 (キョンポデ) / 경포호 (キョンポホ)
「鏡のように澄んで美しい」と言われる鏡浦湖のほとりに建てられた楼閣が「鏡浦台」です。高台に位置し、ここから眺める鏡浦湖や、その向こうに広がる東海(日本海)、そして周囲の松林が織りなす風景は、古くから多くの文人墨客に愛されてきました。「関東八景」(朝鮮半島東海岸の八つの景勝地)の一つにも数えられています。
楼閣の内部には、若き日の栗谷李珥が書いた『鏡浦台賦』をはじめ、多くの詩や文章が掲げられており、当時の人々がこの景色をどのように讃えていたかを偲ぶことができます。「鏡浦台には月が5つ昇る」という言い伝え(空の月、湖面の月、海の月、杯の月、そして相手の瞳の月)があるほど、特に月夜の美しさが有名です。
鏡浦湖の周辺は公園として整備されており、散策やサイクリングを楽しむことができます。また、すぐ近くには韓国有数の海水浴場である鏡浦海岸(鏡浦ビーチ)もあり、夏には多くの人で賑わいます。蓄音機やオーディオの博物館「チャムソリ博物館」も近くにあります。
- 所在地: 江原特別自治道 江陵市 鏡浦路 365
- アクセス: 江陵駅からタクシーで約15~20分、または市内バス利用
- 見どころ: 鏡浦台からの眺望(鏡浦湖、東海)、楼閣内部の扁額、鏡浦湖畔の散策路、鏡浦ビーチ
- 入場料: 鏡浦台自体は無料(周辺施設は別途)
船橋荘:300年続く名家の暮らしと伝統体験
선교장 (ソンギョジャン)
「船橋荘」は、朝鮮時代の後期に建てられた上流階級(両班)の邸宅で、約300年もの間、その子孫が代々受け継ぎ、現在も生活しています。これほど大規模で保存状態の良い個人の邸宅は韓国でも珍しく、重要民俗文化財に指定されています。
「船橋荘」という名前は、かつて鏡浦湖が現在よりも広く、邸宅の入口まで船で渡っていたことに由来します(船の橋=船橋)。広大な敷地には、主人が生活した「悦話堂(ヨラダン)」、客人のための「活来亭(ファルレジョン)」と呼ばれる美しい池の上の亭子(あずまや)、使用人の住居など、多くの建物が当時のまま残されています。特に活来亭は、その建築美と周囲の自然との調和が見事です。
ここでは、邸宅の見学だけでなく、伝統的な韓菓(ハングァ)作りや茶道体験、扇子作りなどの文化体験プログラム(要予約)も楽しめます。さらに、一部の建物では韓屋ステイも可能で、歴史ある邸宅に宿泊するという貴重な体験もできます。
- 所在地: 江原特別自治道 江陵市 雲亭キル 63
- アクセス: 江陵駅からタクシーで約15分、または市内バス利用
- 見どころ: 悦話堂、活来亭、広大な敷地と建築群、伝統体験プログラム、韓屋ステイ
- 入場料: 有料(体験・宿泊は別途)
ソウル&江陵観光のポイント
最後に、ソウルの韓屋村と江陵を訪れる際のポイントをまとめました。
アクセス情報(ソウル市内、ソウル⇔江陵)
- ソウル市内: 地下鉄が非常に発達しており、主要な観光地へは地下鉄での移動が便利です。T-moneyカードを利用するとスムーズです。韓屋村内は徒歩での散策が基本となります。
- ソウル⇔江陵: KTX(韓国高速鉄道)を利用するのが最も早く、快適です。ソウル駅または清凉里(チョンニャンニ)駅から江陵駅まで約1時間40分~2時間程度です。高速バスも利用可能です。
- 江陵市内: 主要な観光スポット間は距離があるため、市内バスやタクシーを利用するのが一般的です。観光タクシーを利用するのも良いでしょう。
各スポット訪問時の注意点
- 韓屋村(特に北村): 多くの場所が一般の住宅地です。住民のプライバシーに配慮し、静かに見学しましょう。ゴミのポイ捨ても厳禁です。
- 営業時間・料金: 博物館や体験施設などの営業時間、入場料、定休日は変更されることがあります。特に季節限定のイベント(夜間観覧など)は、必ず事前に公式サイトで最新情報を確認してください。
- 体験・宿泊: 船橋荘での伝統体験や韓屋ステイは、事前の予約が必要な場合が多いです。早めに計画・予約しましょう。
おすすめの訪問時期
- ソウル・江陵共通: 気候が穏やかで過ごしやすい春(4月~5月)と秋(9月~10月)がおすすめです。特に秋は紅葉が美しく、韓屋の風景や江陵の自然が一層引き立ちます。
- 夏: 江陵の鏡浦ビーチは海水浴客で賑わいます。ソウルは蒸し暑くなることがあります。
- 冬: ソウル、江陵ともに寒さが厳しくなりますが、雪景色もまた風情があります。オリンピック施設などを訪れるのも良いでしょう。
発音に関する注意: 「江陵(강릉)」は、文字通り読むと「カンルン」となりそうですが、韓国語の発音規則により「カンヌン」と発音するのが自然です。これは、前のパッチム「ㅇ(ng)」の後に「ㄹ(r/l)」が来ると、「ㄹ」が「ㄴ(n)」の音に変化するためです。旅行中に地名を発音する際に、少し意識してみると良いでしょう。
まとめ:ソウルと江陵で感じる、奥深い韓国の魅力
ソウルの都心で手軽に触れられる韓屋の風情と、少し足を延ばして訪れたい歴史と自然豊かな江陵。今回は、対照的ながらも、どちらも韓国の伝統文化を感じられる魅力的なスポットをご紹介しました。
北村、西村、益善洞では、それぞれの時代の息遣いや、現代に受け継がれる暮らし、そして新しいトレンドとの融合を発見できます。一方、江陵では、歴史上の偉人の足跡を辿り、壮麗な伝統建築や美しい自然に心を洗われるような体験が待っています。
これらの場所を訪れることで、ガイドブックだけでは分からない、韓国の多様な魅力にきっと出会えるはずです。ぜひ、次の韓国旅行の計画に、ソウルの韓屋村巡り、そして江陵への小旅行を加えてみてはいかがでしょうか。