目次
とても寒い韓国の冬ですが、実は家の中は過ごしやすくなっているのです。
いったいどうやって家を温かく快適に保っているのでしょうか?日本には無いその秘密を探って見ましょう。
韓国の文化オンドル:伝統的な床暖房の仕組みと現代の利用方法
韓国で冬を過ごそう
韓国の冬は寒く気温は零下に下回ることが多々あります。
日本の近畿地方出身の筆者には、その寒さが体に突き刺さるように感じられたものです。
でも冬を過ごしやすいのは日本より韓国。これは在韓日本人が口を揃えて言う言葉です。
理由は韓国にはオンドルがあるからなのです。
オンドルの仕組み
オンドルは韓国語で온돌と書きますよね。
온は温、돌は石という意味であり、昔は床の下に石でトンネルのようなものを作り、台所で調理する時の煙が床の下のトンネルを通り床を温める仕組みだったようです。
現在は床の下に銅やプラスチック製のパイプを這わせ、その中にお湯を巡回させ部屋を暖めます。
家の中は年中夏?
日本は寒い冬に外から帰ってきてもコートを脱げずに暖房をつけ、暖まってくるとようやく一息つける!
朝も布団から出られずに、だれか~暖房つけてきて~!となってしまいますよね。
でも韓国はどんなに寒くても家の中に入れば暖かいので、床に布団を1枚敷くだけでポカポカで眠れるのです。
ではベッドで寝るときはどうするか。
韓国の人はベッドの上に電気マットを敷いて眠るのです。
日本の電気カーペットのように生ぬるいものではありません。
本当に뜨끈뜨끈温度調節の目盛りは1から10までですが、すでに4でのどが渇いて起きるほどです。
韓国語での会話
息子:엄마 바닥이 너무 뜨거워서 못 자겠어요.
息子:お母さん、床がすごく熱くて寝れないよ。
お母さん:그래?어디 볼까? 진짜 뜨끈뜨끈하네. 그러면 엄마가 불을 좀 줄일께.
お母さん:そう。見てみようか。本当に熱いわね。そしたら温度を弱めてあげるわよ。
뜨끈뜨끈하다(トゥクゥントゥクゥンハダ)は、「(部屋が)熱い」という意味で使います。
よく似ている表現に두근두근하다(トゥグントゥグンハダ)がありますが、この場合は심장이 두근두근하다(心臓がドキドキする)のように緊張している様子を表します。
オンドルを使った人々の憩いの場所が찜찔방(チムチルバン)
オンドルを使った人々の憩いの場所が찜찔방(チムチルバン)です。
日本でいう健康ランドのような場所で、各種サウナ以外にも映画館、食堂、マッサージ室、図書室、ネイルサロン、プール、ゲームセンターなどを併設しており、老若男女がそれぞれのペースでゆったり遊ぶことができます。
韓国人の情緒や生きる姿をそのまま映しだす「オンドル部屋文化」が、今は「チムジルバン」という現代人の文化空間として脚光を浴びています。
돌(ドル)と呼ばれる1歳の誕生日を迎えたばかりの乳児から白髪の老夫婦まで、老若男女が床に寝転がったまま頭にタオルを巻き、汗をポタポタ流しながらゆで卵を食べている光景は、今やもう見慣れたものになりました。
【チムジルバンとは?】
韓国でチムジルバンが流行り始めた時期は、1990年代中盤からです。
もともとチムジルバンは日本で先にお目見えしたが、オンドル文化に慣れていない日本では陽の目を見ることなく、韓国で定着しました。
チムジルは放射熱を利用した様々な波長エネルギーを熱として受けるものですが、その波長が私たちの体内の内臓にまでぽかぽかエネルギーを注ぎ込み、体のよくない部分を治癒してくれる効能があります。
多彩なチムジルバン
【チムジルバンに行こう】
最近の大型チムジルバンは、各種付帯施設を備えています。
インターネットや映画はもちろんのこと、食事や宿泊、ジム、マッサージまで一度に解決できる家族のリラックス空間であり、会食やデート場所としても利用されているんですよ。
このチムジルバンの元祖と言えるのが、韓国のオンドル文化です。
オンドルとは韓国の伝統的な暖房のしくみで、家族全員がわいわい集まって話の花を咲かせる団らんの場所でした。
ベッドを使った生活をする外国人の目にはそんな아랫목(アレンモク:オンドルの焚口に一番近い所)文化がおかしなものに映ったようです。
1904年に韓国を訪問したスウェーデン人記者、アーソン・グレブストは「韓国人は夜毎ぐらぐらと煮え立つような床の上で、パンのように焼かれるのが習慣になっている」と記録しています。
【韓国式幸せの表現】
豊かで安楽な生活を「背中が温まり、腹がふくれる」と表現する韓国語にも、韓国のオンドル文化がそのまま表れています。
身心が疲れている時、ぽかぽかとよく温まったアレンモクに背中をぴったりつけて横たわり、深く息を吐くのが、韓国人の素朴な幸せです。
だから、身心ともにリラックスしている人を見ると、「背中が温まって、お腹がいっぱいになったね」と言うのです。
外国人の目には、こんなオンドル部屋がとても不便に見えることでしょう。
今でも残るオンドル文化
【オンドル文化の名残】
しかし、いまだに床に直接座る生活の方に慣れている韓国では、オンドル文化の生活習慣が残っています。
韓国人は無意識のうちに、立っていれば座りたくなり、座っていれば横になりたくなるのです。
練炭の火もなかった時代、秋の収穫がすべて終わり、11月の冷たい風が吹き始めると、冬の薪を準備するのは兄たちの役目でした。
私も親から言われなくても、学校から戻ってくると裏山で薪を山のように拾い、日暮れ前に山から下りてくると、母がほめてくれるのがとても嬉しかった覚えがあります。
【幸せの象徴】
そして、私が拾ってきた薪で、おいしく炊けた夕ご飯を食べ、ぽかぽかのオンドル部屋に身を横たえると、本当に満ち足りた気分になって眠りについたものです。
私が苦労して拾い集めた薪で、家族のご飯を炊き、オンドル部屋の暖まったその幸福感を、今のチムジルバンで味わうことはできません。
しかし椅子のない空間で、「背中が温まり、腹がふくれる」を可能にしてくれるチムジルバンは、疲れた現代人にとって、さしずめ都会の中のオアシスといえるのではないでしょうか?
韓国語表現
푹 쉬고 싶다-ゆっくり休みたい
찜질방에 가서 땀 좀 뺄까?-チムジルバンに行って汗かこうか?
会話
성광:아~피곤해.(ア ピゴネ)
ソンガン:あ~疲れた。
미례:많이 힘들어? (マニ ヒムドゥロ)
ミレ:すごく疲れた?
성광:응, 좀 푹~쉬고 싶다.(ウン チョム プーッ シゴシプタ)
ソンガン:うん。ゆっくり休みたい。
미례:찜질방에 가서 땀 좀 뺄까?(チムジルバンエ ガソ タム チョム ペルカ?)
ミレ:チムジルバンに行って汗かこうか?