「~しない」といった否定表現は、韓国語では「안~」と「~지않다」があるということはよく知られていますが、使い分け方法があるのは知っていますか?
韓国語を勉強する上では基本ではありますが、ここで一度整理してみましょう!
韓国語の否定形「~しない」:「안~」と「~지않다」の使い分け
안~の使い方の基本
韓国語における否定形といえば、代表的なものが「안~」です。例えば「食べない」という場合、日本語であれば「食べます」に対して「~ない」という形で否定形を作りますが、韓国語では「안~」を使って「안 먹어요」と表現します。
「안~」の使い方は簡単です。動詞の前に「안」という否定形をつけるだけです。例えば「食べる」という動詞を否定形にしたい場合は「안 먹다」というように「안」という語句を動詞の前につけます。
また、現在形の場合は「안 먹어요」というように「어요/아요」という語尾を付けて表現します。
では、具体的な例文を見てみましょう。
肯定文: 저는 오늘 커피를 마실 거예요.
私は今日、コーヒーを飲みます。
否定文: 저는 오늘 커피를 안 마실 거예요.
私は今日、コーヒーを飲みません。
肯定文: 그녀는 한식을 먹어요.
彼女は韓国料理を食べます。
否定文: 그녀는 한식을 안 먹어요요.
彼女は韓国料理を食べません。
肯定文: 우리는 여기서 기다릴 거예요.
私はここで待ちます。
否定文: 우리는 여기서 안 기다릴 거예요.
私はここで待ちません。
以上の例文からも、「안~」は否定形を作る際に非常に便利な表現方法であることがわかります。しかし韓国語には「안~」以外にもうひとつの否定形が存在します。「~지않다」についても、後述で詳しく解説していきます。
안~と一緒に使えない表現
ですが、ここで注意が必要です。「안~」とは一緒に使えない表現があります。
動詞的表現
「(名詞)하다」という動詞的表現は、名詞に「하다(する)」という動詞を付けた表現で、「공부하다(勉強する)」や「운전하다(運転する)」などが該当します。このような表現には「안~」を付けて否定することができません。
では、具体例を挙げながら「(名詞)하다」という動詞的表現と「안~」が一緒に使えない理由を説明していきましょう。
例えば「韓国語の勉強をする」という表現を考えてみましょう。この場合、「勉強する」という意味を表す漢字語「공부하다」が使用されます。
「공부하다」に「안~」を付けて「안공부하다」と表現すると、直訳すると「勉強しない」という意味になります。
しかし、韓国語では「勉強しない」という表現はあまり使用されず、これを避けるために「공부하다」に「안~」を付けることはできません。
そのため、代わりに「공부하다」を名詞化して、助詞「를/을」を付けて表現します。つまり「공부하다」を「공부를 하다」と表現し、それに「안~」を付けて「공부를 안 하다」と表現することができます。
以下に例文を挙げて説明します。
「日本語を勉強する」という意味を表す場合
「日本語を勉強する」は、「일본어 공부를 하다」と表現します。そして、この表現に「안~」を付けた場合は「일본어 공부를 안 한다」と表現します。これは「日本語を勉強しない」という意味になります。
「運動をする」という意味を表す場合
「運動をする」は「운동을 하다」と表現します。そして、この表現に「안~」を付けた場合は、「운동을 안 한다」と表現します。これは「運動をしない」という意味になります。
「料理をする」という意味を表す場合
「料理をする」は「요리를 하다」と表現します。そして、この表現に「안~」を付けた場合は、「요리를 안 한다」と表現します。これは「料理をしない」という意味になります。
このように「(名詞)하다」という動詞的表現に「안~」を付けることができない場合は、名詞化して助詞「를/을」を付けた表現に「안~」を付けることで、否定の意味を表現することができます。
一部の複合語
「–답다」や「새–」という複合語が含まれた表現について、更に詳しく説明していきます。
キョンチガ アン アルムダウォヨ
경치가 안 아름다워요.
イクドゥヌン アン セロウォヨ
이 구두는 안 새로워요.
上記の単語は、それぞれ「–답다」「새–」という言葉の複合語になりますが、これらの表現には「안 ~」を付けることができません。
「-답다」とは、ある質や性質を持っていることを表す形容詞の接尾辞です。例えば「아름답다」は「美しい」という質や性質を持っていることを表します。
「새-」は「新しい」という意味を持つ形容詞「새」に別の語を組み合わせた複合語です。例えば「새로운 옷」は「新しい服」という意味になります。
しかし、このような複合語には「안~」を付けることができません。複合語には必ず「~지 않다」と組み合わせて表現する必要があり、以下のように表現するのが正解となります。
キョンチガ アルムダプチ アナヨ
경치가 아름답지 않아요.
景色が美しくありません。
イクドゥヌン セロプチ アナヨ
이 구두는 새롭지 않아요.
この靴は新しくありません。
もう少し理解するために「-답다」と「새-」の例文を肯定文と否定文を比較しながら見てみましょう。
【-답다の例文】
肯定文: 이 시계는 멋있답니다.
この時計は素敵です。
否定文: 이 시계는 멋있지않다.
この時計は素敵ではないです。
肯定文: 그 영화는 재미있다.
その映画は面白いです。
否定文: 그 영화는 재미없다.
その映画は面白くないです。
肯定文: 이 공원은 아름답다.
この公園は美しいです。
否定文: 이 공원은 아름답지 않다.
この公園は美しくないです。
【새-の例文】
肯定文: 새로운 가게가 열렸어요.
新しい店がオープンしました。
否定文: 새로운 가게가 열리지 않았어요.
新しい店がオープンしていません
肯定文: 새로운 차를 구매했어요.
新しい車を購入しました。
否定文: 새로운 차를 구매하지 않았어요.
新しい車を購入していません。
肯定文: 새로운 아파트가 건설 중이에요.
新しいアパートが建設中です。
否定文: 새로운 아파트가 건설되지 않았어요.
新しいアパートが建設されていません。
「안~」は一般的に否定を表す表現ですが、「~않다」という表現よりも、より強い否定の意志を表すことができます。
「안~」を使うことで、話者が明確にその行動を行わないという意志を持っていることを表現します。
例えば、以下のような例文を考えてみましょう。
영화를 안 볼 거예요.
映画を見ないつもりです。
영화를 보지 않아요.
映画を見ません。
これらの文の意味は似ていますが、前者の「안 볼 거예요」という表現は「見ないつもり」という否定の意志がより強く表現されます。
また、2つ目の例文の「보지 않아요」という表現も否定の意志を表していますが、前者の「안 볼 거예요」と比較すると、より緩やかな否定の意志を表現しています。
したがって「내일 병원에 안가요」という表現の方が「내일 병원에 가지 않아요」よりも、より強い否定の意志を感じられますね。
以下により多くの例文を示しながら、韓国語の「안~」と「~지 않다」の使い方について、意志の強さの違いを説明します。
まず「안~」を使った例文をいくつか確認しましょう。
내일 시험 안 보러 갈 거예요.
明日試験を受けに行かないつもりです。
오늘 저녁에 안 먹을 거예요.
今晩は食べないつもりです。
이번 주말에 안 볼 거예요.
今週末は会わないつもりです。
그 영화는 안 볼래요.
その映画は見ないつもりです。
친구들과 안 놀러 갈래요.
友達と遊びに行かないつもりです。
오늘은 안 일어날 거예요.
今日は起きないつもりです。
오늘은 안 나갈 거예요.
今日は出かけないつもりです。
그 책은 안 읽을 거예요.
その本は読まないつもりです。
그 옷은 안 입을 거예요.
その服は着ないつもりです。
저는 안 울 거예요.
私は泣かないつもりです。
これらの文では「안~」を使うことで、話者がある行動をしないという意志を表しています。
例えば1つ目の例文では「시험 안 보러 갈 거예요」という表現がありますが、これは「試験を受けに行かない」という意味です。
しかし、ここで「안~」を使うことで「試験を受けに行くつもりがない」という話者の意志が強調されています。
今度は「~지 않다」を使った例文をいくつか挙げます。
내일 시험을 보지 않을 거예요.
明日試験を受けないつもりです。
오늘 저녁에 먹지 않을 거예요.
今晩は食べないつもりです。
이번 주말에 만나지 않을 거예요.
今週末は会わないつもりです。
그 영화는 보지 않을래요.
その映画は見ないつもりです。
친구들과 놀러 가지 않을래요.
友達と遊びに行かないつもりです。
내일은 공부를 하지 않을 거예요.
明日は勉強しないつもりです。
이번 주말에는 일을 하지 않을 거예요.
今週末は仕事をしないつもりです。
저는 아침에 커피를 마시지 않을 거예요.
私は朝コーヒーを飲まないつもりです。
저는 이 책을 다 읽지 않을 거예요.
私はこの本を全部読まないつもりです。
저는 자전거로 출근하지 않을 거예요.
私は自転車で出社しないつもりです。
これらの文でも「안~」と同様に話者がある行動をしないという意志が表されています。
1つ目の例文では「시험을 보지 않을 거예요」という表現がありますが、これは「試験を受けないつもりです」という意味です。しかし「~지 않다」を使うことで、話者の意志がある程度強調されているという印象を受けます。
「안 ~」と「~지 않다」の違い
「안 ~」は「~지 않다」と同じ意味の否定表現ですが、口語的な表現として使われることが多いです。
ここからは具体的な例文を交えながら「안 ~」がなぜ口語的な表現になるのか、そしてどのような場面で使用すると適切かを説明します。
「안 ~」はより口語的な表現
「안 ~」と「~지 않다」はどちらも否定表現ですが、使い分ける必要があります。例えば「안 ~」は口語的な表現になる傾向があるため、日常会話や書き言葉の中でも比較的カジュアルな場面で使われます。
一方「~지 않다」はよりフォーマルな表現であり、ビジネス文書や学術論文などのような公式の場面で使用されることが多いです。
例文を見てみましょう。
시험을 안 봤어요。
試験を受けていない
시험을 보지 않았어요。
試験を受けなかった
どちらの表現も「試験を受けなかった」という意味を持っています。しかし、1つ目の「안 봤어요」は口語的な表現であり、2つ目の「보지 않았어요」はよりフォーマルな表現です。
このように「안 ~」はよりカジュアルな表現であるため、書き言葉や話し言葉で使用される場合には、より自然な印象を与えることができます。
以下に例文をいくつか紹介します。
오늘은 일찍 일어나지 않을래요.
今日は早く起きないつもりです
난 매일 아침 운동하지 않아.
私は毎日朝運動しない
これらの例文では「안 ~」が使用されています。日常生活でよく使われる口語的な表現であり、より自然な印象を与えます。また「안 ~」を使うことで、話し手の意志や意向を表すことができます。
例えば「오늘은 일찍 일어나지 않을래요」という文は、「今日は早く起きないつもりです」という意味ですが、話し手が自分自身の意志を表していることがわかります。「안 ~」は、話し手の意思決定や行動についての表現に適しています。
「안 ~」の注意点
「안 ~」は口語的な表現であるため、使用する際には注意が必要です。
例えばビジネスメールや公式文書などのような正式な場面で使用すると、不適切に思われることがあります。また、相手によってはカジュアルな表現に過ぎず、失礼な印象を与える場合もあります。
さらに「안 ~」は、「~하지 않다」というよりも意志や意向を表すことが多いため、単に否定するだけでなく、話し手の意思や意向を表す文脈に合わせて使用することが重要です。
「~지 않다」は文語的・固い表現
口語的な表現である「안~」に対して「~지 않다」はより正式な表現になります。例えば「안 가요」は「行かない」という意味であり口語的な表現ですが、「가지 않다」は同じ意味でありながら、よりフォーマルな表現になります。
【口語的な表現:안 가요】
오늘은 영화 보러 안 가요.
今日は映画を見に行かない。
카페에서 커피 안 마셔요.
カフェでコーヒーを飲まない。
【正式な表現:가지 않다】
오늘은 영화 보러 가지 않습니다.
今日は映画を見に行きません。
카페에서 커피 마시지 않습니다.
カフェでコーヒーを飲みません。
以下にいくつかの例文を紹介致します。
현재 어떠한 조치도 취하지 않았습니다.
現在、どのような措置も取っていません。
그들은 아직 회의를 소집하지 않았습니다.
彼らはまだ会議を招集していません。
본사에서는 이 문제에 대한 해결책을 마련하지 않았습니다.
本社ではこの問題の解決策を準備していません。
나는 어제 밤에 숙제를 하지 않았어요.
私は昨晩宿題をしなかったです。
그는 오늘 출장을 가지 않았다.
彼は今日出張に行かなかった。
그 영화는 볼 만하지 않다.
その映画は見るに値しない。
나는 그녀에게 전화하지 않았어요.
私は彼女に電話しなかったです。
이번 주말에는 공부하지 않을 거예요.
今週末は勉強しないつもりです。
実用的な 「안~」と「~지않다」を使った失礼にならない断り方
ここまで「안~」と「~지않다」を使った日常会話を学んできましたが、ビジネスの場面などでは少し失礼にならない断り方というものが大切になりますよね。
ここでは応用編という形で実用的な「안~」と「~지않다」を使った失礼にならない断り方を例を見ながら学んでいきしょう。
代表的なものでは、韓国語には断る際には文頭に「죄송하지만~」という単語を入れることによって丁寧な断り方となります。これと「안~」と「~지 않다」を使ってみていきましょう。
죄송하지만, 저녁 식사는 오늘은 안 합니다.
申し訳ありませんが、今日の夕食はしません。
죄송하지만, 저는 그 일을 안 할 것입니다.
申し訳ありませんが、私はその仕事をしないつもりです。
죄송하지만, 제가 조금 바빠서 오늘 모임에 참석하지 않을 것 같습니다.
申し訳ありませんが、私は少し忙しくて、今日の集まりには参加できないと思います。
죄송하지만, 오늘은 안 오실 거예요?
申し訳ありませんが、今日は来ないつもりですか?
죄송하지만, 이번 주말에는 시간이 없어서 쇼핑을 안 할 거예요.
申し訳ありませんが、今週末は時間がなくて、買い物に行かないつもりです。
以上のように「죄송하지만~」と「안~」「~지 않다」を組み合わせることで、丁寧ながらも失礼のない断り方を表現することができます。
実際に韓国ドラマでよく使われるセリフを覗いてみる
お疲れさまでした。少し説明や例文など多くて疲れたのではないでしょうか。
ここでは少しクールダウンとして、韓国語を習う目的で多く挙げられている韓国ドラマを字幕なしで見てみたい!セリフを理解したい!という人たちに向けた、今回の単元の応用編ならぬ実践編です。
敬語ではなくフランクな言い方で「안~」と 「~지 않다」を含めた韓国ドラマでよく使われるセリフを、シチュエーションも含めて紹介してみようと思います。
まず初めに 「안~」を含めた韓国ドラマでよく使われるフランクなセリフを紹介します。以下はシチュエーションも含めた例文です。
밥 안 먹었어?!
ご飯食べなかったの?!
韓国では食に対いて日本よりも意識が高くご飯を食べていないといったとき、大抵のひとが驚いてこのように聞いてくることでしょう。
나 안 좋아해?
私のこと好きじゃないの?
よくカップルの喧嘩のシーンであるセリフですね。少しドキッとする場面です。
안 나와?
出てこないの?
友人や家族が約束した時間に遅れた場合に使用されます。
안 봤어?
見てなかったの?
あるテレビ番組や映画について話している時、相手が見ていなかった場合に使用されます。
以上のように、韓国語の「안~」はフランクな言葉遣いで使われることが多く、親密な人との会話や友人、家族との日常会話でよく聞かれる表現です。
続いては 「지 않다」を含めた韓国ドラマでよく使われるフランクなセリフの例と、そのシチュエーションです。ここでは上の「안~」のものと少し変わった形式で紹介します。
【나쁘지 않아 悪くない】
シチュエーション:友達同士で話をしている場面
A: 어때? 이번에 만든 케이크 맛있어?
どう?今回作ったケーキおいしい?
B: 음, 나쁘지 않아. 좀 더 달았으면 더 좋았을텐데.
うん、悪くないよ。もう少し甘ければもっと良かったんだけど。
【좋아하지 않아 好きじゃない】
シチュエーション:デート中に相手から告白された場面
A: 정말로 너를 좋아해. 나랑 사귈래?
本当にあなたが好きだ。付き合ってくれる?
B: 미안하지만, 나는 너를 좋아하지 않아.
ごめん、私はあなたが好きじゃない。
「나랑 사귈래?」この単元とあまり関係はないですが、このセリフは大体の韓国のロマンスドラマで放たれる決めセリフといっても良いでしょう。
【이해하지 못해 わからない】
シチュエーション:説明を受けたが理解できなかった場面
A: 이건 내가 만든 작품인데, 이 부분은 이유가 있어서 이렇게 했어.
これは私が作った作品で、この部分は理由があってこうしたんだ。
B: 미안해, 이해하지 못해. 다시 한 번 설명해줄래?
ごめん、理解できない。もう一度説明してくれる?
【끝내지 못했어 終わらなかった】
シチュエーション:試験中に時間切れで解答しきれなかった場面
A: 시험이 끝났어. 다 풀었어?
試験が終わったよ。全部解いた?
B: 아니, 끝내지 못했어. 시간이 모자랐어.
いや、最後までできなかった。時間が足りなかったんだ。
このように実際に韓国ドラマで使用されているようなセリフたちを少しずつ覚えておくことで、真似しながら自分の物にすることもできるかもしれませんね。
シンプルなセリフから覚えて使ってみたりすることで、いざ韓国ドラマを見てそのセリフが流れてきたときに、スッと理解できるようになるかもしれません!
最後に
いかがでしょうか?日本語にしてしまうと同じ「~しない」という表現ですが、意味合いや使える表現、範囲にかなり差があることが分かりましたね。
韓国語には日本語とは異なる特徴が多くあります。例えば、名詞の格や助詞の使い方が日本語と異なることが多いです。また、文法的にも日本語とは異なる特徴が多いため、勉強する上では注意が必要です。
一方で日本語と韓国語は、両国の文化的・歴史的背景が深く関係していることから、似たような表現もあります。例えば「~ない」という否定形は、日本語でも韓国語でも使われる代表的な表現です。
「안~」と「~지 않다」には微妙なニュアンスの違いがあるのを少しでも理解出来たのではないでしょうか。微妙なニュアンスを理解することで、韓国語でのコミュニケーションがよりスムーズになります。
また、韓国語の表現は日本語とは異なる点が多いため、習得することでより広い言語表現が使えるようになります。韓国語学習には、韓国語圏の文化や歴史に触れることも含め、多くの面白さがありますね。