韓国語「いただきます」完全ガイド:잘 먹겠습니다 (チャルモッケッスムニダ) の発音・使い方・文化まで徹底解説
韓国ドラマの食事シーンや、韓国人の友達との食事の際、「いただきます」って韓国語でどう言うんだろう?と思ったことはありませんか? 日本では食事の前に必ず言う「いただきます」ですが、韓国にも同じような習慣があるのでしょうか? 実は、韓国にも「いただきます」にあたる表現があり、食事の際に使われています。しかし、日本の「いただきます」とは少しニュアンスや使われる場面が異なります。
この記事では、韓国語の「いただきます」の定番表現である「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」を中心に、その正しい発音、丁寧さのレベルに応じた使い分け、具体的な使い方、そして日本と韓国の文化的な違いまで、徹底的に解説します。さらに、食事に関連する他の便利なフレーズもご紹介。この記事を読めば、あなたも韓国の食文化への理解を深め、より自然な韓国語でコミュニケーションが取れるようになるはずです!
目次
韓国語で「いただきます」の基本表現:잘 먹겠습니다 (チャルモッケッスムニダ)
韓国語で「いただきます」に最も近い表現は「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」です。これは、食事を用意してくれた人や、ご馳走してくれる人に対して感謝の気持ちを込めて使われる、非常に一般的で丁寧な挨拶です。
基本の「いただきます」
잘 먹겠습니다
[チャル モッケッスムニダ]
直訳すると「よく食べさせていただきます」や「美味しくいただきます」といった意味になります。「잘(チャル)」は「よく、うまく、ちゃんと」、「먹다(モクタ)」は「食べる」、「-겠습니다(ケッスムニダ)」は未来のことに対する意志や推測を表す丁寧な語尾です。食事を始める前に、これから美味しくいただくという意志と感謝を伝える表現として定着しています。
正しい発音とカタカナ表記の注意点
「잘 먹겠습니다」の発音には、いくつかポイントがあります。特に日本語話者が間違いやすい点に注意して、よりネイティブに近い発音を目指しましょう。
- 「잘(チャル)」の ‘ㄹ’ パッチム: 舌先を上の歯茎の裏あたりにつけて発音する ‘L’ の音です。日本語の「ル」のように舌を巻かないように注意しましょう。軽く触れる程度でOKです。
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「먹겠습니다(モッケッスムニダ)」の連音化と濃音化:
- 먹겠 (モッケッ): 「먹」のパッチム ‘ㄱ’ と次の「겠」の初声 ‘ㄱ’ が組み合わさり、「ッ」のような詰まる音(濃音化)になります。「モッケッ」と意識すると近いです。
- 겠습니다 (ケッスムニダ): 「겠」のパッチム ‘ㅆ’ は、次に母音が続かない場合 ‘ㄷ’ の音(Tの音に近い)で発音されます。そのため、「ケッ」と発音した後、次の「습」に移ります。「습니다」の部分は「スムニダ」となりますが、「습」のパッチム ‘ㅂ’ は次の ‘ㄴ’ の影響で ‘ㅁ’ の音に変化します(鼻音化)。そのため、実際の発音は「スムミダ」に近くなります。
- 全体のイントネーション: 文末の「-다」は強く上げたりせず、自然に下げるか、平坦に終えるのが一般的です。感情を込めて少しだけ語尾を上げても良いですが、疑問文のようにならないようにしましょう。
カタカナ表記はあくまで目安です。「チャルモッケッスムニダ」や「チャルモッケスムミダ」と書かれることもありますが、上記の発音ルールを意識して練習することが重要です。可能であれば、ネイティブスピーカーの発音を聞いて真似てみるのが一番です。
丁寧さのレベル:使い分けのポイント
韓国語は、話す相手や状況によって言葉遣いを使い分けることが非常に重要です。「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」は最も丁寧な表現(ハムニダ体)ですが、状況に応じて少しカジュアルな言い方(ヘヨ体)や、友達同士で使うタメ口(パンマル)も存在します。
丁寧さレベル別「いただきます」
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最も丁寧 (ハムニダ体): 잘 먹겠습니다 (チャルモッケッスムニダ)
目上の人、初対面の人、公式な場、ご馳走になる時など、最も広く使われる丁寧な表現。迷ったらこれを使えば間違いありません。
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やや丁寧 (ヘヨ体): 잘 먹겠어요 (チャルモッケッソヨ)
親しい先輩や同僚、少し年上の知人など、ハムニダ体ほどかしこまる必要はないけれど、丁寧さを保ちたい相手に使います。柔らかい印象を与えます。
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タメ口 (パンマル): 잘 먹을게 (チャル モグルケ)
親しい友人、恋人、年下の相手など、完全に打ち解けた関係で使います。語尾の「-ㄹ게(ルケ)」は「〜するね」という親しい間柄での意志や約束を表します。目上の人には絶対に使わないようにしましょう。
これらの使い分けは、「いただきます」に限らず韓国語の会話全般で重要になります。相手との関係性や場の雰囲気を読んで、適切な表現を選ぶように心がけましょう。最初は丁寧な「잘 먹겠습니다」を使うのが無難です。

잘 먹겠습니다 と美味しい韓国料理
シーン別「いただきます」の使い方と例文
それでは、具体的にどのような状況で「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」やその他の表現が使われるのか、例文を交えながら見ていきましょう。
友達や家族との食事(タメ口表現)
気心の知れた友人や家族との食事では、タメ口の「잘 먹을게(チャル モグルケ)」がよく使われます。より親密でカジュアルな雰囲気になります。
例文:友達との会話
友達A: 자, 다 됐다! 많이 먹어!
[チャ、タ デッタ! マニ モゴ!]
(さあ、全部できたよ! たくさん食べてね!)
あなた: 와~ 맛있겠다! 잘 먹을게!
[ワー、マシッケッタ! チャル モグルケ!]
(わー、美味しそう! いただくね!)
例文:家族(弟/妹)との会話
あなた: 배고프다. 빨리 먹자.
[ペゴプダ。 パルリ モクチャ。]
(お腹すいた。早く食べよう。)
弟/妹: 응! 잘 먹을게, 누나/형!
[ウン! チャル モグルケ、ヌナ/ヒョン!]
(うん! いただくね、お姉ちゃん/お兄ちゃん!)
※누나(ヌナ):男性から見た姉 / 형(ヒョン):男性から見た兄
先輩や目上の人との食事(丁寧な表現)
会社の先輩や上司、学校の先生、親戚の年長者など、目上の人と食事をする際には、丁寧な「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」を使うのが基本です。状況によっては、少し柔らかい「잘 먹겠어요(チャルモッケッソヨ)」も使えますが、迷ったら「잘 먹겠습니다」を選びましょう。
例文:会社の先輩との会話
先輩: 자, 식사 나왔습니다. 드세요.
[チャ、シクサ ナワッスムニダ。 トゥセヨ。]
(さあ、食事が出ましたよ。召し上がってください。)
あなた: 네, 선배님. 잘 먹겠습니다!
[ネ、ソンベニム。チャルモッケッスムニダ!]
(はい、先輩。いただきます!)
※선배님(ソンベニム): 先輩(様付けでより丁寧に)
例文:ホームステイ先のホストマザーとの会話
ホストマザー: 〇〇씨, 아침 식사 준비됐어요. 맛있게 먹어요.
[〇〇ッシ、アチム シクサ チュンビデッソヨ。マシッケ モゴヨ。]
(〇〇さん、朝ごはんの準備できましたよ。美味しく食べてね。)
※ヘヨ体で話しかけられている場合
あなた: 와, 감사합니다! 잘 먹겠습니다! / 잘 먹겠어요!
[ワ、カムサハムニダ! チャルモッケッスムニダ! / チャルモッケッソヨ!]
(わあ、ありがとうございます! いただきます!)
※相手がヘヨ体でも、こちらはハムニダ体を使うのがより丁寧。親しくなればヘヨ体でも可。

目上の人への感謝を込めて「잘 먹겠습니다」
食事をご馳走になった時のお礼
誰かに食事をご馳走になる場面では、「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」は必須のフレーズです。これは食事を始める前の挨拶であると同時に、「ご馳走になります」という感謝の表明でもあります。
例文:上司にご馳走になる時
上司: 오늘은 내가 살게. 마음껏 먹어.
[オヌルン ネガ サルケ。 マウムコッ モゴ。]
(今日は私がおごるよ。好きなだけ食べて。)
あなた: 정말요? 감사합니다, 부장님! 잘 먹겠습니다!
[チョンマルヨ? カムサハムニダ、プジャンニム! チャルモッケッスムニダ!]
(本当ですか? ありがとうございます、部長! ご馳走になります!)
※부장님(プジャンニム): 部長(様)
例文:友達におごってもらう時
友達: 이번엔 내가 낼게.
[イボネン ネガ ネルケ。]
(今回は私が出すよ。)
あなた: 진짜? 고마워! 잘 먹을게!
[チンチャ? コマウォ! チャル モグルケ!]
(本当? ありがとう! ご馳走になるね!)
食事をご馳走になった後は、必ず「ごちそうさまでした」にあたる「잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ)」または「잘 먹었어요(チャル モゴッソヨ)」とお礼を言うのを忘れないようにしましょう。
日本と韓国の「いただきます」文化の違い
韓国語の「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」は日本語の「いただきます」と訳されますが、その文化的背景や使われ方には興味深い違いがあります。
誰に感謝を伝える?文化的な背景
日本の「いただきます」は、食事に関わる全てのもの、つまり食材(動植物の命)や、食事を作ってくれた人、配膳してくれた人、さらには自然の恵みなど、広範な対象への感謝を表す言葉とされています。仏教的な思想の影響も指摘されています。合掌する習慣も、この感謝の気持ちの表れと言えるでしょう。
一方、韓国の「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」は、主に「食事を用意してくれた人」や「食事をご馳走してくれる人」に対する感謝の気持ちを表すことに重点が置かれています。つまり、「人」への感謝が中心なのです。もちろん、食べ物への感謝がないわけではありませんが、挨拶として口にする際の主な対象はその場にいる「人」となります。
この違いは、韓国の儒教文化の影響も関係していると考えられます。儒教では、目上の人を敬い、もてなしや施しを受けた際には感謝を示すことが重んじられます。食事の場面においても、作ってくれた人やご馳走してくれる人(多くは目上の人やホスト)への敬意と感謝を示すことが、礼儀作法として定着しているのです。
一人で食事する時は言う?
日本では、たとえ一人で食事をする時でも「いただきます」と言う習慣がある人も少なくありません。これは前述のように、食材や自然への感謝という側面が強いためです。
しかし、韓国では基本的に一人で食事をする際に「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」と言うことはほとんどありません。なぜなら、この言葉は主に「食事を用意してくれた人」や「ご馳走してくれる人」への挨拶だからです。感謝を伝える相手がその場にいない状況では、わざわざ口に出して言う必要がない、と考えるのが一般的です。
もちろん、クリスチャンの方が食前にお祈りをするように、個人的な習慣として心の中で感謝することはありますが、挨拶として声に出すことは稀です。もし韓国の食堂などで一人で食事をしている人が「チャルモッケッスムニダ!」と言っていたら、少し不自然に思われるかもしれません。
文化の違いを理解するポイント:
韓国の「잘 먹겠습니다」は、日本の「いただきます」よりも 「ご馳走になります」「(作ってくれて)ありがとうございます、いただきます」 というニュアンスが強いと覚えておくと、使い方の違いが理解しやすくなります。

韓国の食事マナー:年長者優先の文化
食事前の関連表現:「召し上がれ」は何て言う?
「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」と挨拶をする前に、食事を用意した側が「どうぞ召し上がれ」と声をかけることもよくあります。ここでは、その代表的な表現をいくつかご紹介します。
맛있게 드세요 (マシッケ トゥセヨ)
基本の「召し上がれ」①
맛있게 드세요
[マシッケ トゥセヨ]
直訳すると「美味しく召し上がってください」という意味になります。「맛있게(マシッケ)」は「美味しく」、「드세요(トゥセヨ)」は「召し上がってください」という丁寧な命令形です(「食べる」の尊敬語「들다(トゥルダ)」または「드시다(トゥシダ)」のヘヨ体命令形)。
これは、レストランの店員さんが料理を提供する際や、家庭で食事を出す際など、非常に広く使われる定番のフレーズです。韓国ドラマでも頻繁に耳にする表現ですね。
タメ口表現: 맛있게 먹어 (マシッケ モゴ)
親しい友人や年下の相手には、「美味しく食べてね」という意味で「맛있게 먹어(マシッケ モゴ)」を使います。
많이 드세요 (マニ トゥセヨ)
基本の「召し上がれ」②
많이 드세요
[マニ トゥセヨ]
直訳すると「たくさん召し上がってください」という意味です。「많이(マニ)」は「たくさん」という意味の副詞。これも食事を勧める際の定番フレーズです。
韓国では、お客様をもてなす際にテーブルいっぱいに料理を並べ、「さあ、たくさん食べてください!」と勧めるのが美徳とされる文化があります。この表現は、そうした韓国のおもてなしの心をよく表しています。遠慮せずにたくさん食べてほしい、という気持ちが込められています。
タメ口表現: 많이 먹어 (マニ モゴ)
親しい相手には「たくさん食べてね」という意味で「많이 먹어(マニ モゴ)」と言います。これは非常によく使われる表現です。
これらの「召し上がれ」の言葉に対して、食べる側は笑顔で「네, 잘 먹겠습니다!(ネ、チャルモッケッスムニダ!)」と返事をするのが自然な流れです。
まとめ:韓国語の「いただきます」をマスターしてコミュニケーションを深めよう
今回は、韓国語の「いただきます」にあたる表現「잘 먹겠습니다(チャルモッケッスムニダ)」について、その意味、発音、丁寧さのレベルによる使い分け、使い方、そして日本との文化的な違いまで詳しく解説しました。
この記事のポイントまとめ
- 韓国語の「いただきます」は「잘 먹겠습니다 (チャルモッケッスムニダ)」が基本。
- 主に食事を用意してくれた人、ご馳走してくれる人への感謝を表す。
- 発音は連音化や濃音化に注意。
- 相手や状況に応じて、「잘 먹겠어요 (チャルモッケッソヨ)」(やや丁寧) や「잘 먹을게 (チャル モグルケ)」(タメ口) を使い分ける。
- 日本の「いただきます」とは異なり、一人で食事する際にはあまり言わない。
- 食事を勧める側は「맛있게 드세요 (マシッケ トゥセヨ)」(美味しく召し上がれ) や「많이 드세요 (マニ トゥセヨ)」(たくさん召し上がれ) と言う。
「잘 먹겠습니다」は単なる食事の挨拶ではなく、韓国の文化や人間関係を反映した重要なコミュニケーションツールです。この言葉を適切な場面で、正しいニュアンスで使えるようになれば、韓国の人々との距離がぐっと縮まるはずです。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、まずは丁寧な「잘 먹겠습니다」から使ってみましょう。韓国ドラマの食事シーンを注意深く見て、登場人物たちがどのようにこの言葉を使っているかを観察するのも良い勉強になります。
心を込めて「잘 먹겠습니다!」と言えば、きっと相手にもその気持ちが伝わり、食事の時間がより楽しく、温かいものになるでしょう。ぜひ、次回の食事の機会に、自信を持って使ってみてくださいね!