韓国語で「お父さん」総まとめ!アッパ・アボジの違いから丁寧な呼び方、義父まで徹底解説
パパと呼ぶのはいつまで?状況と親しさで使い分ける韓国の父の呼び方&家族関連フレーズ集
目次
はじめに:韓国ドラマでおなじみ「アッパ!」「アボジ!」どう違うの?
韓国ドラマを見ていると、子供が父親を呼ぶシーンで「아빠! (アッパ!)」と甘えた声で呼んだり、成人した息子が「아버지 (アボジ)」と少し改まって呼んだりする場面によく遭遇しますよね。
日本語でも「お父さん」「パパ」「父」「親父」など、相手や状況によって呼び方が変わるように、韓国語にも父親を指す言葉はいくつか存在します。これらの言葉、なんとなくニュアンスはわかるけれど、
- 「アッパ」と「アボジ」の具体的な使い分けのルールは?
- 大人になったら「アッパ」って呼んじゃダメなの?
- もっと丁寧な呼び方はある?
- 結婚したら、相手のお父さんのことは何て呼べばいい?
など、いざ使おうとすると迷ってしまうポイントも多いはず。
韓国では、日本以上に家族関係や年長者への敬意が言葉遣いに表れる文化があります。父親の呼び方を正しく理解し、使い分けることは、円滑なコミュニケーションはもちろん、韓国文化への理解を深める上でも非常に大切です。
この記事では、韓国語の「お父さん」に関する様々な呼び方を、その意味、ニュアンス、使い分けのルール、文化的背景、そして関連フレーズまで、徹底的に解説していきます。この記事を読めば、あなたも状況に応じて最適な「お父さん」の呼び方ができるようになり、韓国語での表現力がさらに豊かになるでしょう!
基本の呼び方:「アッパ (아빠)」 vs 「アボジ (아버지)」
まずは、最もよく使われる二つの基本的な呼び方、「アッパ」と「アボジ」の違いと使い方をしっかり理解しましょう。
아빠 (アッパ): 親しみを込めた「パパ」「お父ちゃん」
「アッパ」は、日本語の「パパ」や「お父ちゃん」に最も近い、親密で愛情のこもった呼び方です。
- ハングル表記: 아빠
- 発音のコツ: 最初の「ア」は普通に、次の「ッパ」は「ㅃ」という濃音(のうおん)です。唇をしっかり閉じて、息を破裂させるように「パッ」と強く発音します。日本語の「パ」よりも詰まった、力強い音になります。
- 主な使用者:
- 主に幼い子供が父親を呼ぶとき。
- 成人した子供(特に女性に多い傾向)が、親しみを込めて父親を呼ぶとき。
- ニュアンス: 甘え、親近感、愛情、くだけた感じ。
例文:
– 子供が: 아빠! 같이 놀아요! (アッパ! カチ ノラヨ! – パパ!一緒に遊ぼう!)
– 成人した娘が: 아빠, 오늘 저녁은 제가 살게요. (アッパ、オヌル チョニョグン チェガ サルケヨ – パパ、今日の夕食は私がおごるね)
– 甘えるように: 아빠~ 용돈 좀 주세요~ (アッパ〜 ヨントン チョム チュセヨ〜 – パパ〜 お小遣いちょうだい〜)
아버지 (アボジ): 少し改まった「お父さん」「父」
「アボジ」は、日本語の「お父さん」や、他人に対して自分の父を指す「父」に近い、「アッパ」よりも少し距離感のある、改まった呼び方です。
- ハングル表記: 아버지
- 発音のコツ: 日本語の「アボジ」に近いですが、「ジ」は「ジ」と「ヂ」の中間のような音を意識すると、よりネイティブらしく聞こえます。
- 主な使用者:
- 成人した子供(特に男性に多い傾向)が父親を呼ぶとき。
- 公の場や改まった状況で父親を呼ぶとき。
- 第三者に対して自分の父親のことを話すとき。
- ニュアンス: 尊敬、ややフォーマル、一家の主としての存在感。
例文:
– 成人した息子が: 아버지, 다녀왔습니다. (アボジ、タニョワッスムニダ – お父さん、ただいま帰りました)
– 改まった場で: 저희 아버지께서 항상 말씀하셨습니다… (チョイ アボジッケソ ハンサン マルスマショッスムニダ… – 私の父が常々申しておりました…)
– 第三者に紹介する時: 이쪽은 제 아버지이십니다. (イッチョグン チェ アボジイシムニダ – こちらは私の父です)
– 自分の父について話す時: 우리 아버지는 정말 엄격하셨어요. (ウリ アボジヌン チョンマル オムキョカショッソヨ – うちの父は本当に厳格でした)
「アッパ」と「アボジ」の使い分けまとめ
どちらを使うかは、年齢、性別、状況、そして親子関係の親密さによって変わってきます。
- 子供時代: ほぼ「アッパ」
- 成人後:
- 直接呼びかける時: 親しい関係なら「アッパ」も使う(特に女性)。男性は「アボジ」を使う人が増える。
- 改まった場: 「アボジ」
- 第三者への言及: 「アボジ」(または、より丁寧な場合は「아버님 (アボニム)」)
明確なルールがあるわけではなく、家庭や個人によって異なります。成人してもずっと「アッパ」と呼ぶ人もいれば、早くから「アボジ」と呼ぶ人もいます。大切なのは、相手への敬意と愛情を込めて、状況に合った言葉を選ぶことです。

年齢や状況に応じて使い分けましょう
さらに丁寧な呼び方:「アボニム (아버님)」
「アボジ」よりもさらに丁寧な敬称が「아버님 (アボニム)」です。日本語の「お父様」にあたります。
- ハングル表記: 아버님
- 発音のコツ: 「アボニム」の「ニム」は、唇を閉じて鼻から息を抜く「ㅁ」パッチムの音です。
- 主な使用者/状況:
- 他人の父親に対して敬意を払って言及するとき、または呼びかけるとき。(例:友達の父親、先生の父親など)
- 配偶者の父親(義父、舅)を呼ぶときの最も一般的で丁寧な呼び方。
- ニュアンス: 最大級の敬意、フォーマル。
例文:
– 友達の父に会った時: 안녕하세요, 아버님. 처음 뵙겠습니다. (アンニョンハセヨ、アボニム。チョウム ペッケッスムニダ – こんにちは、お父様。初めてお目にかかります)
– 義父に対して: 아버님, 식사 맛있게 하셨어요? (アボニム、シクサ マシッケ ハショッソヨ? – お父様、お食事は美味しく召し上がりましたか?)
– 他人の父について話す時: 김 선생님 아버님께서 편찮으시다고 들었습니다. (キム ソンセンニム アボニムッケソ ピョンチャヌシダゴ トゥロッスムニダ – キム先生のお父様がお加減が悪いと伺いました)
注意点: 自分の父親に対して「アボニム」と呼ぶことは、通常ありません。非常に距離感のある、他人行儀な響きになってしまいます。
その他の「父」に関連する言葉
日常会話で頻繁に使うわけではありませんが、知っておくと便利な「父」に関する言葉もいくつか紹介します。
- 부친 (プチン): 父親。主に書き言葉や改まった場で使われる、やや硬い表現。「父」に相当します。
例: 부친상 (プチンサン – 父の喪、父親の死去)
- 선친 (ソンチン): 先親。亡くなった自分の父親を指す言葉。
例: 선친의 유언에 따라… (ソンチネ ユオネ ッタラ… – 亡き父の遺言に従い…)
- 가친 (カチン): 家親。自分の父親を指す謙譲語ですが、古風な表現で、現代ではほとんど使われません。
- 애비 (エビ): 親父。「애비」自体は「父親」を指す言葉ですが、呼びかけとして使うと非常にぞんざいで失礼な響きになります。子供がいる父親が自分自身を謙遜して言ったり(例:「이 애비는 말이야… – この親父はだな…」)、ドラマなどで意図的に使われたりすることはありますが、通常使うべきではありません。
結婚したらどう呼ぶ?義理の父(配偶者の父)の呼び方
結婚して新しい家族が増えると、配偶者の父親、つまり義理の父をどう呼ぶかという問題が出てきますね。韓国語での呼び方を整理しましょう。
基本は「아버님 (アボニム)」
夫の父(舅)に対しても、妻の父に対しても、最も一般的で丁寧な呼びかけは「아버님 (アボニム)」です。これは性別に関係なく使えます。
例文:
– 아버님, 어서 오세요. (アボニム、オソ オセヨ – お父様、いらっしゃいませ)
– (電話で) 아버님, 저 [自分の名前]예요. (アボニム、チョ [自分の名前]エヨ – お父様、私[自分の名前]です)
義父を指す言葉
呼びかけではなく、会話の中で義父のことを指して言う場合には、以下の言葉があります。
- 시아버지 (シアボジ): 夫の父(舅)。姑を意味する「시어머니 (シオモニ)」と対になる言葉です。直接呼びかける際には使いません。
例: 우리 시아버지께서는… (ウリ シアボジッケソヌン… – うちの舅は…)
- 장인 (チャンイン): 妻の父。
例: 제 장인께서… (チェ チャンインッケソ… – 私の妻の父が…)
- 장인어른 (チャンインオルン): 妻の父を敬って言う言葉。「어른 (オルン)」は大人、目上の人を意味します。呼びかけに使う人もいますが、一般的ではありません。会話の中で敬意を込めて言う際に使います。
例: 장인어른께서는 골프를 좋아하세요. (チャンインオルンッケソヌン コルプルル チョアハセヨ – 妻の父はゴルフがお好きです)
少し複雑に感じるかもしれませんが、基本的には呼びかけは「아버님 (アボニム)」と覚えておけば、失礼になることはありません。

義理の父には「アボニム」と呼ぶのが一般的です
気になる!「アッパ」と呼ぶのはいつまで?韓国のリアル事情
多くの人が疑問に思うのが、「子供の頃はアッパと呼んでいたけど、大人になったらアボジに変えるべき?」という点ではないでしょうか。
結論から言うと、明確な年齢制限はなく、家庭や個人の関係性によります。
- 成人女性の場合: 成人しても父親を「アッパ」と呼び続ける女性は比較的多いです。特に娘と父親の関係は親密なことが多く、愛情表現として自然に受け入れられています。
- 成人男性の場合: 成人男性が「アッパ」と呼ぶのは、女性に比べると少ない傾向があります。思春期頃から「アボジ」に変わる人が多いようです。成人しても「アッパ」と呼ぶと、少し子供っぽい、あるいは母親的な印象(家庭によっては母親が夫を「アッパ」と呼ぶことがあるため)を与える可能性もゼロではありませんが、これも家庭によります。親しい間柄であれば問題ないでしょう。
- 社会的な場では: いくら家で「アッパ」と呼んでいても、会社の上司や取引先など、第三者の前で自分の父親について話すときは「アボジ」や「アボニム」を使うのがマナーです。
韓国ドラマでは、登場人物のキャラクター設定や親子関係を表現するために、あえて成人男性が「アッパ」と呼んだり、逆に子供が「アボジ」と呼んだりする演出もあります。ドラマのイメージだけで判断せず、現実には多様なケースがあることを理解しておきましょう。
韓国の父と子の関係性:文化的な背景を知る
父親の呼び方の背景には、韓国の家族観や文化が深く関わっています。
- 儒教の影響と家父長制: 伝統的に韓国社会は儒教の影響が強く、年長者、特に一家の主である父親を敬う文化が根付いています。「アボジ」という言葉には、そうした威厳や尊敬の念が込められていると言えます。昔は非常に厳格で寡黙な父親像が一般的でした。
- 近年の変化: しかし、現代では核家族化が進み、父親像も多様化しています。子供と友達のように接するフレンドリーな父親も増え、「딸바보 (タルパボ)」という言葉(娘を溺愛する父親を指す。「娘バカ」の意)が流行するなど、愛情表現も豊かになっています。こうした変化が、「アッパ」という親しみを込めた呼び方が成人後も使われる背景にあるのかもしれません。
- 家族中心の文化: 韓国は非常に家族の絆が強い社会です。家族を大切にし、親孝行(효도 – ヒョド)を重んじる価値観は今も健在です。呼び方一つにも、そうした家族への深い愛情や敬意が反映されています。
言葉の使い分けを知ることは、単なる言語学習にとどまらず、その国の文化や価値観を理解する手がかりにもなります。
使ってみよう!お父さんに関連する韓国語フレーズ集
最後に、お父さんへの気持ちを伝えたり、お父さんについて話したりする際に使える便利なフレーズをいくつかご紹介します。
感謝を伝える:
– 아버지, 항상 감사합니다. (アボジ, ハンサン カムサハムニダ – お父さん、いつもありがとうございます。)
– 아빠, 키워주셔서 고맙습니다. (アッパ, キウォジュショソ コマプスムニダ – パパ、育ててくれてありがとうございます。)
– 늘 저희를 위해 애써주시는 아버지께 감사드립니다. (ヌル チョイルル ウィヘ エッソジュシヌン アボジッケ カムサドゥリムニダ – いつも私たちのために頑張ってくださるお父さんに感謝申し上げます。)
健康を気遣う:
– 아빠, 건강 조심하세요. (アッパ, コンガン チョシマセヨ – パパ、健康に気を付けてね。)
– 아버지, 무리하지 마세요. (アボジ, ムリハジ マセヨ – お父さん、無理しないでください。)
– 아버님, 오래오래 건강하게 사세요. (アボニム, オレオレ コンガンハゲ サセヨ – お父様、いつまでも元気で長生きしてください。)
尊敬・愛情を表す:
– 아버지를 세상에서 제일 존경합니다. (アボジルル セサンエソ チェイル チョンギョンハムニダ – お父さんを世界で一番尊敬しています。)
– 아빠, 사랑해요! (アッパ, サランヘヨ! – パパ、愛してる!)
– 우리 아버지는 최고의 아버지예요. (ウリ アボジヌン チェゴエ アボジエヨ – うちのお父さんは最高のお父さんです。)
父の日について:
– 韓国には日本のような独立した「父の日」はありません。代わりに5月8日が「어버이날 (オボイナル – 父母の日)」となっており、両親に感謝を伝える日です。
関連単語:
– 딸 (タル): 娘
– 아들 (アドゥル): 息子
– 가장 (カジャン): 家長
– 효도 (ヒョド): 親孝行
– 엄격하다 (オムキョカダ): 厳格だ
– 자상하다 (チャサンハダ): 思いやりがある、優しい
「お父さん」の呼び方をマスターする学習ポイント
- 「誰が」「誰に」「どんな状況で」呼ぶかを意識する: アッパ、アボジ、アボニムの使い分けの基本は、話者と聞き手(または話題の人)の関係性、そしてその場のフォーマル度です。これを常に意識しましょう。
- ドラマや映画を教材に: 登場人物が父親をどう呼んでいるか、どんな状況で使い分けているかに注目してみましょう。リアルな使われ方を知る良い機会です。
- 自分の状況に置き換えて練習: もし自分が韓国語で父親を呼ぶなら、第三者に自分の父を紹介するなら、友達の父に挨拶するなら…など、具体的な場面を想像して練習してみましょう。
- 声に出して練習: 特に「アッパ」の濃音など、発音は実際に声に出さないと身につきません。例文を音読してみましょう。
まとめ:状況に合わせて使い分け!愛情と敬意を込めて
韓国語でのお父さんの呼び方、奥が深かったですね!最後にポイントを整理します。
- 親しみを込めた呼び方は「아빠 (アッパ)」。子供や、成人しても親しい関係で使われる。
- 少し改まった呼び方、第三者への言及は「아버지 (アボジ)」。成人した子供(特に男性)や公の場で使われることが多い。
- 他人の父や義父への最も丁寧な呼び方は「아버님 (アボニム)」。
- 使い分けは年齢、性別、状況、親子関係の親密さによる。明確なルールはなく、個人差が大きい。
- 呼び方の背景には、韓国の家族観や儒教文化が影響している。
適切な呼び方を選ぶことは、相手への敬意を示すと同時に、スムーズな人間関係を築くための第一歩です。今回学んだことを参考に、状況に合わせて自信を持って使い分けてみてください。
韓国語の家族に関する表現を学ぶことは、言葉だけでなく、韓国の文化や人々の温かい心に触れる良い機会となるでしょう。これからも楽しく学習を続けてくださいね!