韓国の祝祭と年中行事:伝統的な行事から現代の祝日までの変遷

    1. 韓国歴史・文化

    韓国には日本と同じものも異なるものも、様々な年中行事があります。

    今回はその年中行事や祝日に関する由来や歴史、近年にかけての祝祭の変化など、ご紹介していきます。この記事を読めば、韓国人より詳しくなってしまうかもしれません。

    韓国の祝祭と年中行事:伝統的な行事から現代の祝日までの変遷

    韓国の伝統的な祝祭と行事

    韓国には日本と同じく伝統的な祝祭や行事が現在でもたくさん存在していて、それぞれ意味やそのときに行われる風習があります。

    四大名節

    韓国には、四大名節という季節ごとの大きなイベントがあります。それぞれのイベントごとに想定される会話も一緒に学習していきましょう。

    ソルラル(설날、旧正月)

    ソルラルは陰暦1月1日にあたる祝祭日です。ソルラルの朝は新年を迎えて新たに新調した服を着る風習があります。ソルビム(설빔)と呼ばれる新しい服を着て、新年にはうれしいことだけがあるように祈ります。

    祭祀を行って目上の人にお礼の挨拶をする風習のセベ(세배)があります。子どもたちがこれをすると、親族からお年玉がもらえるのです。また、ソルラルに霊廟で拝むことをチャレ(차례)といいます。

    ソルラルにはトックッ(떡국、雑煮)を食べる風習があり、お正月の遊びとして、ユンノリ(윷놀이、すごろく)、ノルティギ(널뛰기、板跳び)など様々な伝統遊戯がありますが、近年はお正月にこの遊びをすることが減っているようです。

    旧正月には決まって言う挨拶があります。日本では年越し前に「良いお年を」、年越しをしたあとに「あけましておめでとうございます」と言いますよね。韓国ではどちらのタイミングでも同じような挨拶をします。

    A: 오랜만에 보네요! 새해 복 많이 받으세요.

    お久しぶりです。あけましておめでとうございます。

    B: 새해 복 많이 받으세요. 이번 설에는 뭘 하셨어요?

    あけましておめでとうございます。今回の旧正月は何をしましたか?

    A: 가족들과 떡국 먹고, 세배도 했어요. 할머니 댁에도 다녀왔어요.

    家族とお雑煮を食べて、新年の挨拶もしました。 おばあちゃんの家にも行ってきました。

    B: 저도 떡국 먹었어요. 할머니 댁에서 가족들 다 모여서 즐거웠어요.

    私もお雑煮を食べました。 おばあさんの家で家族みんなで集まって楽しかったです。

    タノ(단오、端午)

    タノは陰暦の5月5日のことで、田植えや種まきが終わる5月に豊作を祈って神々に行う祭祀です。タノには蒸し餅やヨモギ餅、桜桃を入れたフルーツポンチのようなものがよく食べられます。

    現在ではあまり見られなくなりましたが、タノジャン(단오장、端午粧)といって菖蒲湯で頭や顔を洗い、新しい服を着て菖蒲カンザシでおめかしをする風習もあったようです。

    A: 단오네요, 어떻게 지내셨나요?

    端午ですね。どのように過ごしていますか?

    B:  네, 단오 놀이 하러 친구들이랑 강변에 다녀왔어요. 창포물로 머리도 감고, 씨름도 했어요.

    はい、端午の節句に友達と川辺に行ってきました。 菖蒲湯で髪も洗って、シルム(韓国の伝統的なレスリング)もしました。

    A:저도 창포물로 머리 감았어요. 단오 음식도 많이 먹었어요. 가족들이랑 같이 보니 좋았어요.

    私も菖蒲湯で髪を洗いました。 端午の食べ物もたくさん食べました。 家族と一緒に会えて良かったです。

    松葉の上に置かれた色とりどりの団子が盛り合わせられた金色の皿、大理石の上に置かれたお茶碗 2 個と急須。皿の上には竹の箸が置かれ、韓国風のこの盛り合わせにエレガントな雰囲気を添えています。

    チュソク(추석、秋夕)

    チュソクは陰暦8月15日で、現在も祝日とされています。チュソクには新米でご飯を炊き、ソンピョン(송편、松餅)を作って祭祀を行うのが伝統です。そして先祖のお墓に行って墓参りをしてお墓の世話をします。

    近年では儀礼や行事などはなくなりつつありますが、今でも帰省の文化が残っていて、チュソクには多くの人が故郷に帰ります。日本のお盆とほぼ同じ役割を果たしているんですね。

    A: 추석 잘 보내고 있어요? 오랜만에 봐서 너무 좋아요!

    秋夕は楽しく過ごしていますか? 久しぶりに会えてとても嬉しいです!

    B: 네, 저도 너무 반가워요! 올 추석엔 송편 많이 만드셨어요?

    はい、私もとても嬉しいです! 今年の秋夕にはソンピョンをたくさん作りましたか?

    A: 네, 엄마랑 같이 송편 만들었어요. 맛있게 먹었어요.

    はい、お母さんと一緒にソンピョンを作りました。 おいしく食べました。

    B: 저도 송편 많이 만들고 먹었어요. 할머니 댁에서 제사도 지냈어요.

    私もソンピョンをたくさん作って食べました。 おばあさんの家で祭祀も行いました。

    ハンシク(한식、寒食)

    ハンシクあまり聞き慣れない単語かもしれません。12月下旬の冬至(동지、トンジ)から105日目に当たる日のことです。

    一定期間火をつけないで冷たい料理を食べる古代中国の風習から始まったといわれています。このハンシクにも他の名節のように、墓参りをする文化があるのが特徴です。

    A: 한식 잘 보내고 있어요? 오랜만에 봐서 반가워요!

    寒食を楽しく過ごしていますか?久しぶりに会えて嬉しいです!

    B: 네, 저도 반가워요! 한식이라서 성묘 다녀오셨어요?

    はい、私もうれしいです! 寒食なのでお墓参りに行きましたか?

    A: 네, 가족들이랑 같이 성묘 다녀왔어요. 조상님들께 예를 다하고 차례도 지냈어요.

    はい。家族たちと一緒に墓参りに行ってきました。御先祖様に礼を尽くしてチャレもしました。

    B: 저도 가족들이랑 성묘 다녀왔어요. 한식이라 차가운 음식을 먹었는데, 오랜만에 맛있게 먹었어요.

    私も家族と一緒に墓参りに行ってきました。韓国料理と冷たい食べ物を食べて、久しぶりにおいしく食べました。

    行事のときに家族で集まったときに交わす挨拶

    1年のうちで離れている家族が集まる機会といったら、年末年始や秋夕といった行事のときです。日本でも同じですよね。

    久しぶりに家族で集まったときに交わす韓国語の挨拶や会話を見てみましょう。目上の家族との会話には敬語表現が重要です。

    A: 오래간만입니다. 그동안 어떻게 지내셨어요?

    お久しぶりです。いかがお過ごしでしたか

    B: 오랜만이에요! 잘 지냈지~! 왠지 살이 빠진 것 같은데?

    久しぶりね!元気だったよ~!なんだか痩せたように見えるけど?

    A: 네, 일이 바빠서 밥 먹을 시간이 없었어요.

    はい、仕事が忙しくてご飯を食べる時間がなかったんです。

    B: 안 되잖아!잡채도 소고기도 많이 준비했으니 집에서 많이 먹고 가.

    だめじゃない!チャプチェも牛肉もたくさん用意したから家でたくさん食べていきなさい。

    A: 새해 복 많이 받으세요.

    あけましておめでとうございます。

    B: 새해 복 많이 받으세요.

    あけましておめでとうございます。

    A: 많이 컸네. 몇 살 됐어?

    ずいぶん大きくなったね。何歳になったの?

    B: 9살이 되었습니다.

    9歳になりました。

    カレンダーブロックには「10月3日」と表示され、青い木製の背景の上に小さな韓国の国旗が2つ掲げられており、シーンに韓国の魅力が少し溶け込んでいます。

    韓国の祝日の性格

    韓国と日本では文化や言語が少しずつ似ていますよね。では祝日はどうでしょう。日本と同じような祝日もあれば、まったく異なる祝日もあります。

    韓国の祝日

    韓国の祝日は年によって異なることもありますが、大まかには下記の通りです。日本に関係するものも多くあります。

    【元日

    新しい年の始まりを祝う日です。日本と同様家族と共に過ごします。日本では三が日として1月3日まで祝日ですが、韓国では祝日がこの1月1日のみで、翌日の1月2日からまた仕事や学校が始まってしまいます。

    【旧正月】

    韓国の旧正月で、太陰暦に基づいています。この日は家族が集まり、先祖を供養する儀式を行います。

    【三一節】

    1919年3月1日に起こった三・一運動がもとになっており、日本の統治下からの脱却を求めて起きた独立運動を記念した日です。この運動は日本の植民地支配からの独立を求める韓国民衆の大規模な抗議運動でした。

    この日は街のあちこちで太国旗(태국기、テグッキ)と呼ばれる韓国の国旗を目にします。韓国では3月に新学期が始まるのですが、この삼일절が1日にあるので、必然的に新学期は3月2日からになります。

    【労働者の日】

    毎年5月1日。労働の日の起源は1886年5月1日にアメリカで始まった労働運動にさかのぼり、労働者が8時間労働制を求めてストライキを行ったことに由来しています。

    【こどもの日】

    毎年5月5日。1922年に韓国の教育家、パン・ジョンファン(방정환)が制定しました。この日は子どもたちの幸福と健全な成長を祝うための日で、様々なイベントやプレゼントが用意されます。

    子どもたちの権利を尊重し、彼らの未来を明るくすることが目的です。日本ではかぶとや鯉のぼりを飾りますが、韓国では象徴的な飾りはありません。

    【釈迦誕生日】

    韓国の2大宗教は仏教とキリスト教で、どちらも教祖の誕生日は祝日です。当日はお寺で様々な行事が行われ、訪問客には肉やコチュジャンの入らない精進ビビンパが振舞われます。

    【顕忠日】

    国のために犠牲となった方々を追悼する日です。毎年ソウルかテジョンの国立顕忠院で追悼式が行われます。午前10時に全国的にサイレンが鳴り響くと、誰もが一旦作業中の手を止め、1分間の黙とうを捧げます。

    【光復節】

    日本の終戦記念日であるこの日は、韓国からすると「日本の植民地支配から解放された日」。植民地時代が終わり光を取り戻したという意味の言葉です。全国各地で国旗を掲げ、式典には大統領が参席し祝辞を述べます。

    【秋夕】

    家族が集まり先祖供養を行い、収穫を祝う韓国の収穫祭です。ソンピョンという半月形の餅を食べます。

    【開天節(建国記念日)】

    毎年10月3日。朝鮮民族の始祖とされている壇君(단군、タングン)が、朝鮮半島の起源となる古朝鮮を建国した事を記念する日です。

    【ハングルの日】

    毎年10月9日。世宗大王(세종대왕、セジョンデワン)が1446年にハングルを広く交付したことを記念する日です。ハングルは当時の一般庶民が読み書きできるようにするために作られました。この日には、ハングルの普及とその文化的な価値を祝います。

    【クリスマス】

    キリスト教の祝日として、イエス・キリストの誕生を祝う日です。家族や友人と共に過ごし、教会での礼拝やプレゼント交換などが行われます。

    政治的変化と祝日の変遷

    日本では一般的に日曜日に選挙が行われますが、韓国では選挙日が臨時公休日となります。日本では信じられませんよね。韓国には政治に関心の高い人が多いことが関連しているかもしれません。

    多くの会社がこの日はお休みになりますが、デパートや飲食店は通常営業なので旅行には全く問題ありません。

    大音量で手をふりながら通過する選挙カー、タスキを掛けて握手を求めてくる候補者と支援者達などなど…。選挙戦風景はどれも日本とそっくりです。

    InstagramやYoutubeなどのSNSを選挙活動に活用したり、それぞれの候補者のテーマソングを作ったりと、日本よりもオープンに選挙活動をしている印象が強くあります。

    コンサート会場で2人がステージに向かって両手でハートの形を作り、色とりどりのライトが活気ある韓国のお祭りを思わせる雰囲気を照らし、背景にはぼんやりとした群衆が映っている。

    韓国の現代的な祝祭文化

    祝祭といえば、古くからの伝統的なお祭りが思い浮かぶかもしれませんが、現在ではそれ以外にも多くの祝祭が韓国で開かれています。

    K-POPとエンターテインメントの祭典

    K-POPは音楽シーンに革命を起こし、世界中の若者たちを魅了し続けています。みなさんにも、好きなグループがいるのではないでしょうか。

    韓国のポップカルチャーは、音楽だけでなくダンス・ファッション・ドラマ、そして映画などエンターテインメント全体に影響を与えています。

    特にBTSやBLACKPINKのようなアイドルグループは、国境を越えて多くのファンを持ち、彼らのパフォーマンスやスタイルは、世界中で大きな反響を呼んでいます。

    K-POPの祭典は、こうしたアイドルたちを集めてその実力を競い、また活動を披露する場として、年々盛大に開催されています。

    最新のフェスティバルでは、人気アーティストたちのライブパフォーマンスが行われるだけでなく、ファッションショーやトークセッション、さらにはファンとの交流イベントも開催されました。これにより、ファンは直接アイドルに会うことができ、一体感を味わうことができます。

    これらのイベントには韓国だけでなく、海外からも多くの観客が訪れます。韓国のエンターテインメントは国を上げて盛り上がりをみせており、韓国の一大産業の一つです。引き続き、今後もK-POPと関連の祭典の盛り上がりに注目が集まります。

    まとめ

    韓国の祝祭と年中行事、また現代の祭典についても学んできました。こうやって海外の文化を学ぶと、日本の文化をきちんと説明できるかも不安になります。

    韓国の文化を理解できたら、今度は日本の文化を韓国語で伝える練習をしてみるのもいいですね。かなり専門的な用語も出てくるはずなので、難しいかもしれませんが、知っている単語を組み合わせながら説明してみましょう。

    関連リンク

    韓国文化と生活「コネスト」の記事
    こちらの記事では、ソルナル(旧正月)と秋夕(チュソク)に焦点を当てて、それぞれの行事の意味や風習、家族での過ごし方などが紹介されています。

    韓国観光公社公式サイトの祝祭日ガイド
    この公式サイトでは、2024年と2025年の韓国の祝祭日について完全なガイドが提供されています。ソルナルと秋夕は重要な年中行事であり、数百万人が帰省する時期でもあります。

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