韓国の家庭料理とその文化的意義:伝統的なレシピと現代の変化

    1. 韓国歴史・文化

    韓国料理をきっかけに韓国が好きになった人も少なくないのではないでしょうか?

    韓国料理も、言語や服装のように現在と昔とで変化を遂げてきたものの一つです。どのような変化を遂げてきたのかを学習したら、きっと韓国料理をもっと好きになるでしょう。

    韓国の家庭料理とその文化的意義:伝統的なレシピと現代の変化

    韓国の家庭料理の魅力

    近年の日本では、韓流ドラマやK-POPの流行とともに、韓国料理が大人気です。特に、東京の新大久保や赤坂・大阪の鶴橋といったエリアでは韓国料理の店が多く立ち並び、今や激戦区ともなっています。

    デリバリーサイトには「韓国料理」というジャンルができ、特に韓国チキンは若者を中心に大人気の料理となっています。

    今回の記事では、韓国料理の中でも古くから愛されてきた家庭料理の特徴や、韓国料理の歴史・文化的側面について紹介していきます。韓国の食文化や、話題の韓国料理について知りたい方は、ぜひ読んでみてください。

    韓国の食文化の特徴

    韓国は日本の隣の国ですが、食文化にはそっくりなところも全く違ったところもあります。

    まず、韓国も日本と同様に主食は米です。白米だけでなく、キビやアワ・大麦などを混ぜた雑穀米や、野菜や豆を加えた炊き込みご飯も日常的に食べられています。

    【お粥を頻繁に食べる】

    日本よりも頻繁にお粥が食べられることも韓国料理ならではの特徴です。

    日本では、お粥というと風邪をひいたときに食べるイメージがありますが、韓国では朝食としてお粥が一般的に食卓にあがり、お粥屋さんもチェーン展開しています。 韓国ドラマでもよくお粥を食べるシーンがでてきますね。

    トッピングも様々なものがあり、韓国の日常食になっています。よく食べられるのは、かぼちゃやあずきのお粥です。市場にも売られているので、旅行の際に食べてみてくださいね。

    【唐辛子をよく使う】

    料理に辛味や彩りを加えるため、韓国料理に欠かせないのが唐辛子です。韓国料理は赤いものばかりと考える人も多いでしょう。唐辛子は、生のままか乾燥させて粉状にしたものをよく使い、料理によって使い分けられます。

    唐辛子だけでなく、にんにくや生姜、ネギといった薬味野菜も韓国料理で多く使われる食材で、日本の食文化に似ています。これらの食材は身体を温める効果があり、マイナス20℃にもなる冬場の韓国で厳しい寒さをしのぐのに役立ちます。

    【葉野菜で包んで食べるサム文化】

    さらに韓国で特徴的なのは、肉料理をサンチュやレタスなどの葉野菜で包んで食べる「サム文化」という食文化です。

    メインとなる肉をキムチやタレ・味噌と一緒に巻いて食べるのが一般的なスタイルで、時にはご飯も一緒に包んで食べます。

    サム文化があることで、脂っこい肉をさっぱり食べることができたり、野菜を多く食べられたりと健康的な食生活につながり、韓国の野菜摂取量は世界でもトップレベルといわれています。葉野菜のほかに韓国のりやわかめ・エゴマの葉などを使うことも一般的です。

    薬食同源の考え方

    韓国の食文化には、古くからの「薬食同源」の考え方が取り入れられています。薬食同源とは「薬と食べ物を同じものとみなし、健康なときでも普段から身体に良いものを食べて病気を予防したり、健康を増進させたりする」という考えです。

    例えば、夏バテ予防として熱いサムゲタンを食べたり、咳止めとして五味子茶を飲んだりと、体調が優れないときは薬を飲むではなく、食べ物で回復しようとする昔からの習慣があります。

    韓国でよく食べられるキムチなどの発酵食品や、味付けに使われるヤンニョムなども、薬食同源の考えが生かされています。

    韓国料理には薬食同源の考えを反映させたものが多いため、バランスよく食べれば病気を予防できるといわれています。だからと言って、食べすぎは禁物ですよ。

    テーブルにはキムチ、レタス包み、マリネした肉、野菜と卵が入った丼、ソース、おかず、そして箸とスプーンなど、さまざまな韓国料理が並べられています。

    伝統的な韓国料理の基本

    ここからは、特に伝統的な韓国料理として基本的なものをピックアップして紹介していきます。日本でもメジャーなものが多く、気になるものがあれば、スーパーで探したり、レシピを調べて作ってみたりしてはいかがでしょうか。

    キムチ:韓国料理の象徴

    キムチは韓国を代表する漬物ですよね。白菜や大根・ニラなどの野菜を塩漬けにし、にんにく・リンゴ・粉唐辛子・魚介の塩辛などの調味料と合わせて発酵させたものです。

    おかずとして食卓に並ぶのはもちろん、炒め物や煮物などの味付け・具材として使われることもあります。

    しかし、韓国の若者はキムチ離れが進んでいるとされ、キムチを日常的に食べない人も多いようです。

    昔の韓国では寒い冬場に生鮮野菜が不足していたことから、キムチはビタミン補給のための非常に重要な食べ物とされていました。地域や家庭によって辛さや水分の多さ、味の濃さなどに違いがあるのも面白いですよね。

    ビビンバ:豊富な野菜とご飯の絶妙な組み合わせ

    ご飯にナムルや肉・卵など様々な具を入れ、コチュジャンを加えてからよく混ぜて食べる料理です。

    韓国では「ビビンパプ(비빔밥)」と発音します。「ビビン」が「混ぜる」、「パプ」が「ご飯」という意味です。しっかり混ぜ合わせることで、具やタレがよく馴染んでより美味しくなります。

    色々な野菜を一度にたっぷりと摂ることができ、栄養バランスに優れた料理です。野菜嫌いな子どもでも、ビビンバにすると野菜をたくさん食べることができます。

    箸ではご飯と具を均一に混ぜ合わせるのが難しく、韓国では平べったいスプーンを使って全体を切るように混ぜます。

    日本との違いとして、日本では石焼ビビンバを見ることが多いですが、韓国では一般的な食堂では銀の大きなお椀にビビンバが盛られ、スピーディーに食事をすることが多いです。

    チャプチェ:サラダのような彩り鮮やかな料理

    チャプチェは春雨と色とりどりの野菜・肉などを炒め合わせた、韓国の家庭では非常によく作られるおかずです。

    チャプチェは漢字で「雑菜(チャプチェ)」と書きますが、雑(チャプ)は「数々のものを混ぜ合わせる」、菜(チェ)は「細切りにした食材」あるいは広く「おかず」を意味しています。  

    チャプチェの一般的な作り方は、牛肉やにんじん・玉ねぎなどを細切りにして別々に炒めておき、もどした春雨に味をしみこませて最後に全体を混ぜ合わせる、というものです。それぞれの食材の色がなじまないように、別々に炒めるのです。

    春雨を炒め煮にしたり、最後に春雨も一緒に炒め合わせるタイプや、肉の代わりに魚介類を入れたり、きのこを何種類もとり合わせたりと、家庭や店によっても様々なレシピがあります。

    どのチャプチェにも共通しているのは、ごまやごま油の香り豊かに仕上げるところです。市場でもよく売られ、その香りにおびき寄せられるようにお客さんが集まっています。

    チャプチェは韓国料理において、主菜というよりは副菜として食卓に並ぶことが多く、老若男女を問わず人気のある、国民的な料理といえます。

    韓国の伝統衣装を着た人が、ニンニク、スパイス、野菜などさまざまな材料をテーブルの上に丁寧に並べ、キムチを熱心に準備している。

    韓国の食に対する意識

    韓国には日本と比べて、食に対する猛烈な情熱があります。韓国人と食事を共にすると、彼らの食べることに対する旺盛なエネルギーを感じることができます。

    韓国人の食に対する姿勢は食器にも表れています。例えば、日本でも韓国でも食事に箸を使いますが、韓国では箸に加えてスプーンを使ってよりダイナミックに食べる点が日本と異なります。

    韓国人は年を取ることを『年を食べる』と表現します。また夏バテは『暑さを食べる』、決心することを『心を食べる』というように、韓国語には『食べる』という動詞を使った表現が数多く見られます。これも食に対する関心の高さからきているのではないでしょうか。

    食文化の歴史

    朝鮮半島では14世紀に李氏朝鮮が国を治めた際に儒教が国教とされ、その教えが社会に根づきました。

    儒教では八親等までを『身内』と考えます。また韓国人は代々『門中』と呼ばれる一族の系譜を持っており、自分を中心に『身内』が同心円状に広がっていると認識しています。その輪の中の人は『身内』なので、何でも分かち合おうとする文化が育ちました。

    韓国では、来客があると茶碗に山盛りのご飯をよそい、食べきれないほどの料理でもてなします。食卓では中央に置いた鍋を囲み、皆が同じ鍋をつつきます。

    一方日本では、高盛り飯は「縁起が悪い」と敬遠され、適度によそって「おかわり」をうながすのが一般的でしょう。同じように大皿を前にしても、各々が箸を伸ばす「直箸」を嫌い、取り箸で取り皿に分けるのがマナーとされています。

    意外にも似たようで違う文化があるのですね。

    【韓国のキムジャン文化】

    ユネスコの無形文化遺産に登録された韓国の「キムジャン文化」も、「分かち合い」の文化を象徴しています。

    韓国には、冬を前に一族総出でキムチを漬け、それを家族で分け合う習慣があります。必ずキムジャンを行うという家庭が減ってきているようですが、まだまだイベントとして家族で一生懸命キムチを作る家庭も多いようです。

    キムチ専用の冷蔵庫が備え付けられている家も、まだまだ多くあります。日本人ではなかなか体験できないことですが、一度は経験してみたいですよね。

    一般的な挨拶「ご飯食べた?」

    韓国人同士の親しい間柄の友達に会うと、「ご飯食べた?(밥 먹었어?バプ モゴッソ?)」と聞かれます。

    あまりに聞かれるので、そんなに気になるのか?と思ったこともあります。日本人からすれば「なんで毎回聞くの?」「ちょっと鬱陶しい」と思ってしまう人もいるようです。

    韓国では昔、貧困が酷くご飯がまともに食べられない時代が長くありました。実は韓国で普通にご飯が食べられるようになったのは1960~70年頃です。当時は「ちゃんとご飯が食べられたのかどうか?」と、心配して声をかける習慣があったそうです。

    その名残から「ちゃんとご飯食べた?」「ちゃんと食べられた?」ということが、日常的に飛び交う言葉になったのです。

    ちなみにご飯を食べたか聞く習慣は、韓国だけでなく中国などの東南アジアなどでは比較的多いようです。貧困時代が長かった歴史のある国では、ご飯が食べられているかを聞くことはごく自然なことなのかもしれません。

    ご飯を食べたか聞くときの例文をご紹介しておきます。

    (友人と道で出くわした時)

    :안녕. 밥 먹었어?

    おはよう。ご飯食べた?

    :먹었어. / 아직 안먹었어.

    食べたよ。/ まだ食べていないよ。

    3 人がキッチンで料理をしながら楽しいひとときを過ごしています。1 人がフライパンで何かをかき混ぜながら、おそらくおいしい韓国料理を作っている途中で、もう 1 人に微笑みかけています。

    韓国の家庭料理を取り入れる楽しみ

    韓国旅行で食堂などのご飯屋さんに行くと、出されるおかずの豊富さに驚くかもしれません。何種類ものおかずが、少しずつ、しかも特別な料金なしで提供されます。

    頼んだものが来る前にズラズラと並べられるおかずの小皿に「これ頼んでないよ?」と思う外国人も多いようです。

    このような韓国の家庭料理を自宅で再現したい場合、食材はどのように手に入れたら良いのでしょうか。

    韓国の食材や調味料の入手方法

    韓国の食材は、日本にいながら簡単に手に入れられるようになりました。

    一般的なスーパーや、新大久保などにある韓国食品専門のスーパー、コンビニや会員制大型スーパーなどには多くの韓国食材や冷凍食品が並んでいます。スーパー直営や韓国企業が手掛けるECサイトでも、チルド製品や乾物が簡単に手に入れられます。

    韓国の食材は、日本と同じでスーパーに多くの品ぞろえがあります。ソウルであればソウル駅に大きなスーパーがあるので、旅行の最後にお土産を購入するのにも困りません。

    韓国ならではの市場では、韓国の食材だけでなく、その食材で作られたおかずもたくさん売られています。韓国に住んでいなくても、市場でおかずを買ってその場やホテルで食べる観光客も多いです。ぜひ、現地の食材も楽しんでみてください。

    注意点として、韓国の食材を日本に持ち込む場合は、検疫の際に問題が生じることもあるので、きちんと調べてから持ち帰るようにしましょう。

    まとめ

    韓国の家庭料理について、その歴史や代表的な料理、ご飯に関する挨拶までご紹介しました。

    今回ご紹介したもの以外にも、中華料理が韓国風に変わって流通していることも、韓国の食文化を語るうえでは特徴的な事柄です。

    「食」を軸に日本と韓国を見比べると、それぞれの多様な側面が見えてきます。日本と共通点も相違点も持つ韓国の文化を『食』を通じて比較してみるのもおもしろいでしょう。

    韓国には、韓国料理が好きで遊びに行くという人も少なくないはず。ご飯に関する文化を学んで、今までよりもっと韓国料理を楽しみましょう。

    関連リンク

    韓国の食事文化 日本との違いや定番料理なども合わせて解説
    韓国料理の歴史や文化的側面、家庭料理の魅力について解説されています。

    韓国の食文化 : 韓国観光公社公式サイト「VISITKOREA」
    韓国の食文化について、宮中料理からストリートフードまで幅広く紹介されています。

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